東京, 1月9日, /AJMEDIA/
2024年に登場した高性能なスマートフォンと言えば、「iPhone 16 Pro」「Galaxy S24 Ultra」「Pixel 9 Pro」などだろう。そのすべてに共通するのが優秀なカメラシステムだ。1台のスマートフォンにいくつものレンズが詰め込まれ、息をのむような写真を生み出す。その出来映えは、プロ用カメラで撮影した写真にも引けを取らない。もっとも、同じことは2023年に登場したスマートフォンにも言える。スマートフォンのカメラは、細かい改良を除けば、ハードウェア面ではほとんど進化していない。2024年のスマホカメラに起きた大きな変化は、撮影プロセスに人工知能(AI)が深く組み込まれるようになったことだ。しかし筆者は写真を仕事にしている者として、この変化を手放しでは喜べない。
GoogleのPixel 9 Proは、洗練されたデザインと高性能なプロセッサーを備えた、マルチに活躍する優秀なスマートフォンだ。高品質なカメラも搭載しているが、使われているハードウェアは2023年発売の「Pixel 8 Pro」とほとんど変わらない。Pixel 8 Proとの最大の違いは、多彩な生成AIツールを最初から搭載したことだ。例えば、「編集マジック」を使えば簡単に画像を修正したり、新しい要素を付け加えたりできる。どんよりと曇った空も、手軽に美しい夕焼けに変えられる。「Pixel Studio」機能を使えば、多少の失敗はあるにせよ、簡単な指示で多種多様な画像をいくらでも生成可能だ。
しかし、こうした新ツールのほとんどは撮影後の画像を後から加工するものであり、撮影機能自体の改善点はほとんどない。「iPhone 16」は、写真の色調を細かく調整できる「フォトグラフスタイル」が追加されるなど、撮影面でも多少の改善が見られたが、カメラのハードウェアはやはり前世代とほとんど変わっていない。筆者は以前、小米科技(シャオミ)が2024年に発売した「Xiaomi 14 Ultra」の充実したカメラ性能を絶賛する記事を書いたが、1インチの大型イメージセンサーがスマートフォンに搭載されたのはこれが初めてではない。2022年にシャオミが発売した「Xiaomi 12S Ultra」や、2015年発売のパナソニックの「LUMIX DMC-CM1」も1インチのイメージセンサーを搭載していた。