G7、対中ロで結束演出 台湾海峡と制裁焦点―日米が批判の標的に・広島サミット

東京, 5月21日, /AJMEDIA/

先進7カ国(G7)首脳は19日から広島市で開かれている首脳会議(サミット)で、ウクライナ侵攻を続けるロシアへの制裁強化で一致し、中国を巡っても、台湾武力統一の懸念を踏まえ「台湾海峡の平和と安定の重要性」を強調した。21日にはウクライナのゼレンスキー大統領も対面で参加し、一層の結束を演出するが、一連の課題ではG7内の相違もにじむ。
中国との分断求めず 「建設的関係」を模索―G7声明

 ◇全面禁輸見送り
 G7首脳は19日、中国に「共通の懸念」を直接伝え、国際社会の責任ある一員としての行動を求める方針を確認。記者団から「共通の懸念」の中身について問われた木原誠二官房副長官は、「個別具体的に申し上げることは控えたい」と歯切れが悪かった。
 4月に訪中したフランスのマクロン大統領は台湾問題で「米国に追随すべきではない」との認識を示し、波紋を広げた。安全保障面での中国の動向に危機感を募らせる米国に対し、欧州は経済的な対中依存のリスク低減を最も重視する。欧州連合(EU)のミシェル大統領は記者会見で、中国の経済的威圧に対処する必要があると述べつつ、「安定して建設的」な中国との協力を維持すべきだと訴えた。
 ウクライナ侵攻に関しては、バイデン米大統領がウクライナ軍兵士へのF16戦闘機の操縦訓練の開始を認めると他の首脳に伝達。ウクライナを支える欧米の「戦闘機連合」の構築が見えてきた。
 ただ、対ロ制裁の大幅な強化策として取り沙汰されていた全面禁輸は、19日発表のウクライナ危機に関するG7首脳声明に盛り込まれなかった。ロシアの戦費調達に打撃を与える同国産ダイヤモンドの取引制限でも、実効性を伴った枠組みが実現できるかは不透明だ。
 ◇広島開催「皮肉」
 G7首脳は、相違が残る中で合意可能な対中・対ロ政策の大枠をアピールした形だが、中ロは米国とG7議長国の日本を標的に批判を強めている。
 中国外務省の汪文斌副報道局長は、「日本は(国際)ルールや秩序を語る前に侵略の歴史の美化をやめるべきだ」とけん制。経済的威圧について「米国こそ威圧的外交の仕掛け人だ」と主張した。
 ロシア外務省のザハロワ情報局長も、広島に原爆を投下したのは米国だと名指しし、その広島でロシアの核の脅威がテーマになっていることは「皮肉だ」とコメントした。

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