G7、ゼレンスキー氏と連帯 ロシア核威嚇に対抗―広島サミット

東京, 5月20日, /AJMEDIA/

 ウクライナのゼレンスキー大統領が来日し、先進7カ国首脳会議(G7サミット)に出席する。当初、オンライン参加を予定していたが、日本政府が水面下で調整。議長を務める岸田文雄首相は、G7が結束してウクライナに連帯する姿勢を国内外に印象付けたい考えだ。被爆地広島に招くことで、核兵器による威嚇を繰り返すロシアをけん制する狙いもある。
被爆地で「核の威嚇」糾弾へ G7首脳に支援要請―ウクライナ大統領

 当初の日程では、ウクライナに関する討議は19日だけだった。しかし、外務省はサミット開幕前日の18日になって、21日に再度ウクライナを取り上げると発表。その裏で、大統領来日が調整されていた。与党内からは「アジアで初の訪問国になり画期的だ。核を放棄した国を支えるというメッセージを伝えるチャンスになる」(公明党の山口那津男代表)と歓迎する声が上がった。
 首相は3月、ウクライナの首都キーウを電撃訪問した際、大統領にサミットへのオンライン参加を要請し、快諾を得ていた。
 独自の「和平案」を掲げる中国は今月中旬から、政府特別代表をロシアやウクライナに派遣。そうした中でゼレンスキー氏をサミットに招くことは、首相が掲げる「法の支配」を訴える機会になる。日本はほかのG7メンバー国と異なり、武器供与に制限があり、大統領来日で議長としての指導力を示す思惑もありそうだ。
 サミットには招待国8カ国首脳も参加。G7、中ロ双方と距離を置く新興・途上国「グローバルサウス」の代表格とされるインドも含まれる。大統領が直接ウクライナの正当性を訴えることで、これらの国々をG7側に引き寄せる狙いもあるとみられる。
 ウクライナ侵攻以降、核兵器の使用をちらつかせるロシアは、ウクライナ国内の原発を攻撃し占拠。両国に接するベラルーシへの核配備も表明している。ゼレンスキー氏は3月の首脳会談で、ロシアの核兵器による威嚇と原発占拠をサミットで取り上げるよう求めていた。
 G7首脳は19日、ウクライナをテーマに討議。支援の継続や対ロ制裁の強化、第三国を通じた迂回(うかい)支援の阻止を掲げた声明を出した。ゼレンスキー氏を交えて再び討議する場でも、こうした方針を確認する。

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