30年までの新目標焦点 「陸・海30%保全」合意なるか―生物多様性COP、8日開幕

東京, 12月4日, /AJMEDIA/

 国連生物多様性条約第15回締約国会議(COP15)が7日(日本時間8日)、カナダのモントリオールで開幕する。希少な動植物の保全や自然保護を目的に、2030年までの新たな枠組みで合意できるかが焦点。世界全体の陸域と海域のそれぞれ30%以上を健全な生態系として保全する目標などが盛り込まれる見通しだが、資金支援の分野で先進国と途上国との対立も予想される。
 10年に名古屋市で開催されたCOP10では、20年までを期間とする「愛知目標」が採択された。今回は、愛知目標を引き継ぐ「ポスト2020」の枠組みを決める節目の会議となる。
 「30年までに陸海30%以上保全」目標は略称「30by30」。保護区などの設定を想定しており、21年6月の先進7カ国首脳会議(G7サミット)で合意された。22年8月の20カ国・地域(G20)環境・気候相会合では、ウクライナ情勢を巡る対立で共同声明が採択できなかったが、議長国の中国などは今回の会議で、30by30を国際目標として位置付けたい考えだ。
 会議では、生物多様性の保全に取り組む民間企業の情報開示も論点となる見通し。企業活動が自然保護などにどれだけ影響を与えるか公表することで、民間資金の投入を促す仕組みについて議論する。さらに、生物多様性に特化した新たな基金の設置も議題となるが、気候変動対策と同様、大規模な資金支援を求める途上国と資金拠出に慎重な先進国との間で交渉が難航する恐れもある。
 10年の愛知目標には「陸域および内陸水域の17%を保全」など計20の個別目標が盛り込まれたが、完全に達成された項目はゼロ。国際機関「IPBES」が19年に公表した報告書では、動植物100万種が絶滅の危機にひんしていると推計された。自然破壊を食い止めることが急務で、30%目標に向けた道筋を示せるかがカギとなる。
 COP15は当初、20年10月に中国・昆明で開催予定だったが、新型コロナウイルス感染拡大の影響で延期。21年10月には昆明でオンライン形式を中心に一部の会議が行われた。今回、モントリオールに開催地を移して新たな枠組みの採択を目指す。

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