200年の「非同盟戦略」に幕 孤立化回避でNATO加盟選択―スウェーデン

東京, 5月18日, /AJMEDIA/

スウェーデンが18日にフィンランドと共に北大西洋条約機構(NATO)加盟の申請書を提出する見通しとなった。ウクライナに侵攻するロシアと接するフィンランドが「切迫した危機感」を持って加盟へ迅速に動いたのに比べ、スウェーデンはやや消極姿勢だったが、地域で唯一の非加盟国として孤立するのを避ける道を選んだ。200年近くにわたる同国の中立・非同盟戦略の歴史は幕を閉じることになる。
 スウェーデンは19世紀前半から中立外交を導入。第2次大戦中は幾つかの局面で譲歩を強いられたものの中立の原則は堅持し、他国と直接戦火を交えることはなかった。冷戦期、非同盟の立場を生かして紛争仲介や核軍縮の旗振り役を務め、終結後はNATOとの協力を強める一方、非加盟の方針は続けた。
 こうした中立戦略は、スウェーデンの「国家的アイデンティティー」として内外で受け入れられてきた。国民はそれを誇りに思い、米主導の軍事同盟に加わることには抵抗感が根強かった。左派の与党・社会民主労働党は一貫して非同盟を主張し続け、つい最近まで「(NATO加盟は)不合理だ」(同党のバルストロム元外相)という認識が党内を占めていた。
 しかし、ウクライナ侵攻を契機に事態は変わった。侵攻前の世論調査で2割にすぎなかった支持が5~6割に急上昇した。さらにフィンランドが先行して申請を決断したことが政策転換の決定打となった。バルト海沿岸で唯一の非加盟国となり「非常に弱い立場」(アンデション首相)に陥るのは、スウェーデンにとって何としても避けたい事態。社民労働党は最後まで内部で意見が割れたものの、世論や隣国の動きに押され、加盟支持へと「劇的な方向転換」を強いられた。
 加盟申請の方針は16日に正式決定した。アンデション首相は「非同盟の方針はうまく機能してきたが、将来的にはそうならないと結論付けられた」とし、ウクライナ侵攻で安保環境が激変したとの考えを示唆。また「フィンランドと共に申請するのが最善だ」と述べ、ロシアの脅威に近隣国が団結して対処する必要性を強調した。

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