高校生共著の論文、海外学術誌に 小5で見つけた「結晶」テーマ―愛媛

東京, 1月5日, /AJMEDIA/

 欧州物理学会の学術誌「EPL」に昨年10月、日本の高校生が共著者の論文が掲載された。愛媛県立松山南高校3年の丸山虎哲さん(18)は愛媛大、九州大の准教授や学生らと4人で、水溶液中の微細な結晶同士が結合、反発する条件をテーマに研究、論文を執筆。指導した愛媛大大学院の宮田竜彦助教(51)は「国際的な学術誌に日本の高校生の論文が掲載されるのは非常にまれだ」と話した。
 論文のタイトルは「陽イオンを介した同符号粒子間の有効引力の積分方程式による研究」。同じ電荷を帯びた微細な粒子や結晶同士は通常、反発するが、水溶液中のイオン濃度がある一定の値になると、同じ電荷であってもくっつくという。この現象が起こる条件について、九州大の秋山良・准教授が証明に用いた計算方法の妥当性を、丸山さんが別の計算方法で立証してみせた。
 丸山さんは優秀な高校生に大学レベルの学問に触れてもらう愛媛大の講座「グローバルサイエンスキャンパス(GSC)」の受講生。「反発するはずの結晶がくっつくのはなぜか」という素朴な疑問をテーマにした丸山さんに、宮田助教は「渋いテーマだ、面白い学生が来た」と舌を巻いた。丸山さんは、宮田助教らの助言も受けつつ、複雑で時間のかかる計算を進め、論文の完成にこぎ着けた。
 「結晶」に興味を持ったのは小学校5年生の時。自由研究のため、同県久万高原町の千本高原で鉱物を採取していたが、車通りの多い車道上でもつぶされずに正八面体を保ったままの石英の結晶に心を奪われたという。まだ将来の研究テーマは決まっていないが、憧れの研究者にブラックホールの撮影に成功した国立天文台の本間希樹教授を挙げ、「不可能を可能にする科学者になりたい」と夢を語った。

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