陸上養殖、参入相次ぐ 実態把握へ届け出制導入―政府

東京, 1月28日, /AJMEDIA/

 政府は27日、異業種から新規参入が相次ぐニジマスなどの陸上養殖業の実態を把握するため、4月から事業者に対し魚種などを届け出るよう制度を整備した。同日、内水面漁業振興法の政令改正案を閣議決定した。水産資源の減少で漁業生産量が低迷する中、安定した水産資源を提供できる養殖業への期待は高まっており、陸地にいけすを設置して育てる陸上養殖の実態を調べることで成長産業に育てる方針だ。
 4月1日に施行する。既存の事業者には3カ月の経過措置を設け、6月30日までに届け出るよう求める。届け出内容は、養殖場ごとの魚種や養殖形態、規模などを検討している。
 陸上養殖は近年、技術の進化に加え、漁業権などの許可を必要としないため、新規参入する事業者が急増。水産庁の推計では、ウナギを除き漁業権が設定されていない陸上で海水を利用して養殖を営む事業者は、2021年に約300に上る。
 同庁によると、特に16年以降に増加している。九州電力やJR西日本のほか、最近は三井物産や丸紅といった商社も水産会社などと大規模な生産体制を整え、販売に乗り出し始めた。
 魚種はさまざまで、21年の種別推定生産量はヒラメが29%に当たる670トンと最も多い。次いでニジマスが23%、クルマエビが19%だった。
 届け出制の導入で、陸上養殖の増加に伴って発生する問題に対応する考えだ。とりわけ陸上養殖では河川や海に一定の排水を行うため、水質に与える影響などの懸念が浮上。大量に水を繰り返し使用する「閉鎖循環式」と呼ばれる方式では、使用分の数パーセントを排水するという。水産庁によると、現時点で環境面に問題はないというが、今後問題が生じた場合に速やかに対応できるようにする狙いもある。

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