防疫措置、徐々に緩和 習政権、不満沈静化へかじ―中国

東京, 12月4日, /AJMEDIA/

中国で「ゼロコロナ」政策への不満が高まる中、各地方政府は新型コロナウイルスの防疫措置緩和を相次いで発表している。デモの再発を警戒する習近平政権は取り締まりを徹底しながらも、不満の沈静化へ向け厳しい政策の見直しにかじを切った形だ。
 中国でコロナ対策を統括する孫春蘭副首相は1日、衛生当局の会議で「防疫措置のさらなる適正化に向けた条件が整った」と述べ、緩和を進める姿勢を示した。前日に続き2日連続で「ゼロコロナ」に言及しなかったことから、政策の転換を示唆したと受け止められた。
 各地では徐々に規制緩和が進む。北京市は2日、地下鉄など公共交通機関を利用する際に義務付けていた48時間以内のPCR検査陰性証明の提示について、5日から取りやめると発表。複数の商業施設も営業を再開した。天津市も地下鉄での陰性証明の提示を廃止し、四川省成都市や広東省深セン市では多くの公共施設でも不要とした。
 ただ、北京市では自宅マンションや職場を含む大半の場所で引き続き陰性証明が求められ、店内飲食も禁止されたままだ。規制緩和の動きを受け、ほぼ毎日受けることが必要なPCR検査の廃止など「全面開放」のうわさがネット上で流れたが、北京市共産党委員会の機関紙・北京日報は3日、市衛生当局の話として「事実ではない」と打ち消した。
 当局は市民の不満解消に乗り出す一方で、デモへの警戒も続けている。先週末に数百人が集まった北京市内の現場には3日、数十台の警察車両が配置され、物々しい雰囲気の中、警官らが通行人を監視していた。SNSでは、上海の地下鉄で警官らが乗客一人ひとりのスマートフォンを調べる動画が拡散。デモの再発阻止へ取り締まりを強化しているもようだ。
 習近平国家主席は、デモの動きに神経をとがらせている。欧州連合(EU)高官によれば、習氏は1日にミシェルEU大統領と会談した際、「(コロナの)流行から3年になり、人々がいら立っている」という見解を表明。「抗議しているのは主に大学生や10代の若者」とも説明した。抗議に関する習氏の発言が明らかになったのは初めて。今後の取り締まりや防疫措置の方針に注目が集まっている。

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