道をつくった奈良 世界と戦った155センチ―女子テニス

東京, 9月26日, /AJMEDIA/

 女子テニスで元世界ランキング32位の奈良くるみ(30)=安藤証券=が、東京・有明テニスの森公園で行われた東レ・パンパシフィック・オープンで現役生活に終止符を打った。21日のダブルス1回戦が最後の試合に。ジュニア時代から切磋琢磨(せっさたくま)してきた土居美咲(ミキハウス)とペアを組み、「みっちゃん(土居)がいなければ、ここまで来られなかった」と感謝した。
 記者会見では、大切な人の名前をもう1人挙げた。「原田夏希コーチがいなければ、今の私はなかった。夏希さんとだから、ここまでテニスの向上を楽しめた」
 師弟関係は2012年から。身長155センチと小柄な奈良が世界で戦うため、得意だった速い展開からの攻めを捨て、ロブショットなどを駆使してコートを広く使うスタイルを追求した。半年ほどで成果が出始めて世界ランクは上昇。14年2月にツアー初優勝を遂げた。
 四大大会の壁は厚く、3度の3回戦進出が最高だった。年齢を重ねた近年は心身ともに最高の状態を維持するのが難しくなった。原田コーチが引退の意思を伝えられたのは、今年5~6月の下部ツアーで優勝した翌日。「優勝したのに?と思うところはあったけど、思い付きで言う子じゃないから」。師匠はまな弟子の決意を受け入れた。
 強豪を打ち破ったこともある粘りのスタイルは、後進にとって教科書になる。「あのサイズで世界と戦うために、こういうテニスもあるという道をつくった」と原田コーチ。次は奈良と一緒に強い選手を育てる。そんな新たな夢を持っている。

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