過去には米大統領参列 歴代首相の公的葬儀、辞退例も―安倍氏国葬

東京, 9月25日, /AJMEDIA/

 安倍晋三元首相の国葬が27日に営まれる。同じく国葬となった吉田茂氏以降、歴代首相の公的な葬儀は故人の歩みや遺志、死去の時期により特色がある。在職中に亡くなった大平正芳氏の内閣・自民党合同葬などの際は同盟国・米国の現職大統領が参列。「ふるさと創生」を掲げた竹下登氏は出身地での簡素な形式を希望した。
 政府は安倍氏の国葬を行う理由の一つに「各国から首脳クラスの参列希望が相次いでいる」ことを挙げる。この点は過去の例でも同様だったようで、現職のまま他界した大平氏の合同葬(1980年7月)には当時のカーター米大統領や中国の華国鋒首相らが出席した。
 首相在任中に緊急入院し、内閣総辞職から1カ月余り後に亡くなった小渕恵三氏の内閣・自民党合同葬(2000年6月)にも、クリントン米大統領や韓国の金大中大統領、オーストラリアのハワード首相ら多数の首脳が顔をそろえた。
 一方、新型コロナウイルス禍のさなかの20年10月に行われた中曽根康弘氏の内閣・自民党合同葬では、各国からの参列は駐日大使ら日本国内居住者110人に限られた。
 葬儀の形式もさまざまだ。吉田氏の国葬(67年10月)以前は「自民党葬」が基本。安倍氏の次に首相在職期間が長い佐藤栄作氏の時(75年6月)は内閣、自民党と国民有志による「国民葬」で、これまで他に例はない。
 内閣・自民党合同葬は大平氏以降に定着。岸信介、橋本龍太郎、宮沢喜一各氏らを含めて計8回に上る。衆院議員を半世紀超も務め、「議会の子」と称された三木武夫氏は「衆院・内閣合同葬」。ロッキード事件で逮捕された田中角栄氏は「自民党・田中家合同葬」だった。
 クリーンなイメージで通した海部俊樹氏の場合、葬儀は近親者のみで執り行われた。遺族から「公費を使う合同葬などは辞退する」との申し出があったという。
 竹下氏の葬儀は出身地の島根県旧掛合町と自民県連、竹下家の合同葬となった。関係者は「本人が『地元でささやかに』と話していた」と明かす。
 時の首相が務めることの多い葬儀委員長の弔辞は、故人の足跡や人柄に触れる内容が目立つ。日米安全保障条約改定に政治生命を賭けた岸氏への追悼の辞で、中曽根氏は「功績は戦後の歴史の上に不滅のものとして伝えられる」とたたえた。
 小渕氏と早大時代から付き合いのある森喜朗氏は「誰にでも気さくに電話をかけて『ブッチホン』と人気を集めたのも、類いまれなる魅力があったからだ」と語り掛け、旧友をしのんだ。

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