連携強める自民「麻生―茂木ライン」 思惑一致、野党工作で成果も

東京, 5月08日, /AJMEDIA/

 自民党の麻生太郎副総裁と茂木敏充幹事長が夏の参院選対応で連携を強めている。「麻生―茂木ライン」で主導した野党分断工作は一定の成果を収めた。連携の背景には、総裁候補の一人に名前が上がる茂木氏を影響下に置きたい麻生氏と、「ポスト岸田」へ重鎮の支持を得て足場を固めたい茂木氏の思惑が重なっていることがあるようだ。
 「茂木幹事長の人柄が私と付き合ったおかげでさらに良くなった」。麻生氏は4月26日、茂木派パーティーに駆け付け、親密ぶりをアピールした。
 両氏は3月、最大派閥・安倍派会長の安倍晋三元首相を交え会食した。当初は安倍氏と麻生氏の2人だけの予定だったが、麻生氏が「ゲスト」として茂木氏を招いたという。岸田政権主流派の領袖(りょうしゅう)でもある3氏は今月も会食を調整している。
 麻生、茂木両氏は、野党の分断を狙って国民民主党の取り込みを図った。麻生氏は、国民と立憲民主党を支援する連合の芳野友子会長や他の幹部と会談。茂木氏は国民が求めたガソリン税引き下げを材料に、2022年度予算に賛成するよう働き掛けるなど役割分担した。
 連携強化が奏功したのか、野党統一候補は現段階で約10選挙区にとどまる。参院選山形選挙区での不戦敗検討も両氏の仕掛けと見る向きもある。岸田文雄首相は党務を2人にほぼ任せており、党本部で首相を交えた3氏の会合は定例化している。
 麻生氏が茂木氏との距離を縮めるのは、麻生派の河野太郎広報本部長の「雑巾がけ」(党関係者)が足りないとの思いもあるようだ。河野氏は昨年の総裁選で、派内の反対論を押し切り出馬し敗北。麻生氏は「首相を支えて長期政権を築く」(同派中堅)のが基本戦略で、「首相に何かあれば茂木氏を担ぐ」(周辺)と見られている。
 茂木氏も党と政府の要職を歴任しながら総裁選出馬の経験はない。首相よりも2歳上の66歳で、岸田政権が長期に及べばそれだけチャンスは限られることになる。周辺は「麻生氏から支援を受けることに懸けている。安倍氏の信頼も得て、総裁選へのレールをひたすら進もうとしている」と代弁する。
 ただ、麻生、茂木氏とも公明党とのパイプは細い。参院選の相互推薦に続き、22年度補正予算案編成の是非でも与党はぎくしゃくしたままだ。自民党の閣僚経験者は、公明党への不満を口にしつつ、「茂木氏らも、もう少しやりようがないのか」と漏らした。

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