通常国会、終始与党ペース 野党分断、国民は予算賛成

東京, 6月12日, /AJMEDIA/

 第208通常国会は15日、会期末を迎える。夏の参院選を控え、政府・与党は安全運転に徹し、政府提出法案全ての成立が確実。一方、国民民主党が2022年度予算や同補正予算の賛成に回るなど、野党内の分断が加速した。
 政府・与党は「与野党対決型」法案の提出を絞り込んだ結果、岸田政権にとって目玉の経済安全保障推進法など61本の政府提出法案は全て成立する見通しとなった。1996年以来26年ぶりで、立憲民主党が日程闘争から距離を置いたことも後押しした。与党が野党の合意を得られないままに行う強行採決は一度もなかった。
 国民は与党へ接近する姿勢が目立った。新型コロナウイルス対策などを盛り込んだ22年度予算や、原油高対策などを柱とする同補正予算に賛成した。ガソリン税を一時的に引き下げる「トリガー条項」の凍結解除をめぐる自民、公明両党との協議にも臨んだ。「是々非々」を掲げる日本維新の会とともに、立民との共闘からは一線を画し、独自路線をまい進した。
 一方、立民は参院選をにらみ対決姿勢を鮮明にするため、岸田内閣不信任決議案を提出したが、与党などの反対多数で否決。共産、社民両党を除く他の野党の協力が得られず、野党内の亀裂が一層浮き彫りになった。
 ◇憲法審、定例開催で進展
 維新や国民が改憲論議の進展を唱えて与党と足並みをそろえたこともあり、衆参両院の憲法審査会は定例開催が進んだ。今国会は衆院で15回、参院で6回開催。感染症のパンデミック(世界的大流行)などの緊急事態における国会へのオンライン出席の是非や、参院選の「1票の格差」是正のために導入された「合区」などをめぐって、ほぼ毎週討議が行われた。自民党が目指す参院選後の改憲論議の本格化に向けた地ならしが進んだ。
 調査研究広報滞在費の改革は途上だ。昨年10月の衆院選後に、新人や元職議員に在職1日で満額100万円が支給されたことで問題となり、与野党は今国会で協議を続けた。各党は文書通信交通滞在費から改称し、日割り支給にすることで合意し、改正歳費法は成立した。しかし、維新が求める使途公開や未使用金の国庫返納などの実現は先送りとなった。
 ウクライナのゼレンスキー大統領は3月、国会でオンライン演説を行った。外国要人が日本の国会でオンライン演説を行うのは初めて。大統領はロシアによるウクライナ侵攻を受け、日本へさらなる支援を呼び掛けた。
 5月15日には沖縄の本土復帰50年の節目を迎えた。衆院では、沖縄復帰50周年の決議が採択されたが、参院では野党が日米地位協定の見直し検討を盛り込むよう求め、与党が応じなかったため、同日までに決議は間に合わなかった。

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