迫る核の危機、対応急務 真価問われるIAEA―5日から理事会

東京, 6月4日, /AJMEDIA/

【ベルリン時事】国際原子力機関(IAEA)の定例理事会が5日からウィーンで開かれる。ロシアが占拠するウクライナ南部ザポロジエ原発の周辺では戦闘行為の激化が懸念され、イランの核開発も危険水域に到達。差し迫る危機への対応が急務だが、実効性のある措置が打ち出せるかは見通せず、IAEAの真価が問われる局面を迎えている。
IAEAが警告 「予測不能で危険」―ザポロジエ原発

 ウクライナ軍はロシアに占領された地域の奪還を目指して、近く大規模な軍事作戦を決行する構えだ。ザポロジエ原発の立地地域でも苛烈な戦闘が予想され、核事故の発生を懸念するIAEAのグロッシ事務局長は5月30日、原発に向けた攻撃禁止など「五つの原則」を発表した。
 グロッシ氏は従来「安全・保護区域」設定を唱えていたが、ウクライナ側は占領の既成事実化につながると消極的だった。5原則はこうした懸念に配慮した形だが、履行状況の監視は事実上不可能との声も上がる。
 イランを巡っては、最新のIAEAの報告書で、濃縮度最大60%のウランを「核爆弾2個分」(ロイター通信)に相当する114.1キロ保有していることが判明した。他方、監視業務に協力的な姿勢を示しているとされ、IAEAは一部核施設の調査に区切りを付けたもようだ。
 核開発に歯止めをかけたい西側諸国の間では、核合意再建に向けた対話の機運も芽生えつつある。しかしイランと対立するイスラエルは1日の声明で、「IAEAはイランの政治的圧力に屈した」と調査終了を批判。イランは国際社会を欺いていると警告した。対立や相違を抱える関係国間の調整に奔走しているグロッシ氏は、理事会で支持を得て交渉の後押しを受けたい考えだ。

Follow us on social

Facebook Twitter Youtube

Related Posts