補正審議も与党ペース 波乱なく衆院通過―国会

東京, 5月28日, /AJMEDIA/

2022年度補正予算案が27日、波乱なく衆院を通過した。野党第1党の立憲民主党は「審議充実」に力点を置いて追及を試みたが、力不足は否めなかった。日程闘争に消極的なこともあり、当初予算に続いて与党ペースで進んだ。
 立民は補正審議に際し、円安による物価上昇が家計に与える影響は深刻だと分析。消費税率5%への時限的な引き下げなど21兆円規模の緊急経済対策が必要だと主張した。参院選に向けてはキャッチフレーズとして「生活安全保障」を掲げた。
 27日の衆院予算委員会でも、立民の階猛氏は一般会計の歳出総額が2兆7009億円の補正予算案について「小さ過ぎる。中身がない」と批判。「なぜこんな中途半端なものになったのか」と迫った。
 岸田文雄首相は「今後の物価は不透明な状況にあると認識している。まずは足元の物価高騰にしっかり備えなければいけない」と反論。第1弾の対策にすぎないとして追及をかわした。
 25日の補正審議入りに先立ち、自民党出身の細田博之衆院議長のセクハラ疑惑が持ち上がった。立民にとっては自民党にダメージを与える機会と言えたが、議長不信任決議案の提出や衆院本会議欠席などはしなかった。
 「『立民は批判ばかり』と言われるのを避けたい」。ある幹部は抵抗戦術を取らない理由をこう説明する。週刊文春の報道以上に事実関係がよく分からない段階では踏み込めないというわけだ。
 27日の衆院議院運営委員会理事会でも共産党とともに細田氏の説明を重ねて要求したが、自民党に「伝聞による記事」を理由に突っぱねられると、それ以上食い下がらなかった。
 ◇自民、国民民主に距離
 一方、国民民主党は補正予算案に賛成した。2月の当初予算採決時にも賛成しており、「与党化」が一段と際立つ結果となった。玉木雄一郎代表は国会内で記者団に「国民生活を守るための賛成だ」と強調した。
 ただ、参院選が近づく中、自民党はじわりと国民民主党と距離を取り始めている。昨年末以降接近したのは野党陣営の分断が狙い。参院選1人区の野党側一本化調整は滞っており、一定の成果を挙げたという判断だ。
 当初、山形選挙区は現職を抱える国民民主党に配慮して「不戦敗」とする方向だったが、地元の意向も踏まえ、一転して候補擁立にかじを切った。あるベテランは「うちのやり方は引き付けておいてポイと捨てることだ」と語った。

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