荷主側に意識改革促す 物流改善へ措置命令も

東京, 5月20日, /AJMEDIA/

国土交通省などは19日の有識者検討会で、規模の大きい荷主企業や運送会社に物流効率化の計画作成を義務付ける方向性を示した。来年4月からトラック運転手の時間外労働に上限が課されることによる物流停滞が懸念される中、現場の負担軽減への関与が求められる荷主側の意識改革を促す狙いだ。
荷主企業も計画作成を 物流効率向上へ法改正視野―「2024年問題」に対応・国の検討会

 「物流負荷をかけてきた事業者が主体的に行動すべきだ」。有識者検討会の最終取りまとめ案では、特に荷主企業の経営層を中心に取り組む重要性を強調。不十分な対応への勧告や措置命令など法的措置にも踏み込んだ。
 NX総合研究所の試算によると、上限規制導入でトラックの輸送能力は2019年度比で14.2%不足する恐れがある。荷主別では農協など農産・水産品出荷団体の不足率が3割超と高いほか、運送元請けや紙・パルプ、建設、食料品、小売り、自動車など幅広い業種で影響が見込まれ、対策が急務となっている。
 カギを握るのが、運転手の拘束時間の約2割を占める荷積みや荷下ろし時の待機や作業時間の削減だ。運転手が荷積みなどで契約外の作業を強いられるケースもあるが、国の調査ではこうした待機・荷役時間を把握している荷主は1~2割にとどまる。
 取りまとめ案は、デジタル技術を活用した時間管理や納品回数削減の必要性を指摘。共同輸配送や荷役台(パレット)標準化なども求めた。
 一方、荷主側からは「業種ごとに特性が異なる」(日本製紙連合会)、「従前より積極的に効率化に取り組んでいる」(日本自動車工業会)など一律規制への懸念や先行企業への配慮を訴える声が相次ぐ。規制は企業の在庫管理を含む物流網全体に影響を与えるだけに、今後の制度設計は容易ではない。

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