苦境の岸田首相、外交・経済に活路 「政局より政策」で目先転換狙う

東京, 9月15日, /AJMEDIA/

 岸田文雄首相は14日の経済財政諮問会議で、物価高に伴う追加経済対策の議論を指示した。19日には国連総会出席のため訪米する予定。世界平和統一家庭連合(旧統一教会)問題と安倍晋三元首相の国葬への強烈な逆風で苦境にあえぐ中、「政局より政策」をアピールして目先を変え、活路を見いだしたい考えだ。
 「経済対策を来月中に取りまとめる。対策が最大限の効果を発揮するための知恵と工夫について議論していただきたい」。首相は諮問会議でこう求めた。これに先立つ政府・与党連絡会議では訪米に触れ、「ウクライナ侵略で試練を迎えている国連が役割を果たせるよう積極的に働き掛ける」と意気込みを語った。
 首相は8日に国会で国葬について説明し、自民党は所属国会議員と教団の接点に関する点検結果を公表。いずれも批判を和らげる狙いだった。だが、9日以降に行われた報道各社の世論調査で、内閣支持率は昨年10月の発足後最低を記録。下落傾向に歯止めがかかっていない。
 13日の党役員会で首相は「『政局より政策』という当たり前を具体的に示したい」と宣言。野党の批判を政局的だとけん制しつつ、政策実現に向けた動きに世論の関心を集めたいとの思惑が透ける。
 経済政策を矢継ぎ早に打ち出しているのはこうした狙いからだ。9日に住民税非課税世帯への5万円支給と、今月末に期限を迎えるガソリン補助金の延長を決定。与党関係者によると、補助金は段階的に引き下げる方向で調整していたが、反発を懸念した首相が土壇場でひっくり返し現行制度を維持することになった。
 訪米では国連総会での一般討論演説やニューヨーク証券取引所での演説を予定。バイデン米大統領との首脳会談も検討しており、メディアの報道が首相に集中しそうだ。
 とはいえ、帰国後の27日には国葬が行われ、10月上旬にも臨時国会が召集される方向だ。立憲民主党の安住淳国対委員長は14日、記者団に「臨時国会で旧統一教会問題を徹底追及していく」と強調。首相の思惑通りに進むかは見通せない。

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