自動運転バス、12月5日運行開始 宮城で、ローカル線代替モデルに―JR東

東京, 12月1日, /AJMEDIA/

 JR東日本は、宮城県の気仙沼線の専用道で大型自動運転バスの運行を12月5日に開始する。最高時速60キロを出す自動運転バスの運行は国内に例がない。利用者減少で採算が悪化したローカル鉄道再編が全国で課題となる中、代替手段のモデルケースとして注目される。
 「時代の変化に合わせた方策が重要だ」。11月30日の報道公開でJR東の伊勢勝巳副社長は、地域交通維持に向けたバス専用道導入や自動運転化の意義を強調した。
 気仙沼線は2011年の東日本大震災で被災。JR東は線路跡に専用道を整備する「バス高速輸送システム(BRT)」での復旧を選び、12年から運行してきた。自動運転化するのは、このうち柳津~陸前横山間の4.8キロ。道路に埋めた磁気マーカーをセンサーで検知し走る仕組みだ。
 18年から実証実験を重ね、「障害物に衝突する前に停止する技術が向上した」(担当者)。現段階では運転士も乗務するが、将来的には無人化や運行区間の拡大を視野に入れている。少子高齢化に伴う運転士不足解消につなげる狙いもある。
 BRTは鉄道より低コストで、定時性を確保しつつルートや運行本数を柔軟に設定できるのが利点。一般道を走るバスと比べ自動運転化も容易だ。国と自治体、鉄道会社に不採算ローカル線の再編協議を促した国土交通省の7月の有識者提言でも、再編での選択肢に挙げられた。
 JR西日本もBRTでの自動隊列走行について20年代半ばの実用化を目指し実証実験を進めており、ローカル線再編の「切り札」(業界関係者)とみる向きもある。
 ただ、BRTも万能ではない。高速走行が難しく長距離輸送には不向き。観光資源としての魅力を持つローカル鉄道と違い、「移動手段の範囲にとどまっている」(気仙沼市)とも言われ、住民以外の大幅な利用増は見込みづらい。定期的な路面補修も必要で、利用者が少なければ不採算化するのは鉄道と同じだ。導入には「地域の実情に応じた議論が必要」(野村総合研究所)となりそうだ。

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