脱炭素へ「暖房革命」 日本メーカーがけん引―欧州

東京, 5月4日, /AJMEDIA/

【ベルリン時事】脱炭素化に取り組む欧州で、暖房システムを「ヒートポンプ式」に刷新する「暖房革命」が起きている。石油やガスに依存した旧来システムに比べ省エネルギーな点が特徴で、ロシアのウクライナ侵攻に伴う天然ガス不足を背景に政治主導で市場が急拡大。シェア上位を日本メーカーが占め、各社も増産を急ぐが、供給が追い付かない状況だ。
 ヒートポンプは、エアコンにも使われる熱交換技術。外気の熱を取り込み、少ない電力で効率良く温水ができる。欧州では、温水を屋内に循環させる「セントラルヒーティング」が一般的な暖房で、ヒートポンプの湯を使えば二酸化炭素(CO2)の削減につながる。技術的には欧州のメーカーよりも日本勢が優位で、機器の普及をリードしている。
 世界的空調大手ダイキン工業は、他社に先駆け2006年にヒートポンプ式暖房を欧州に投入。20%弱のシェアを握り、首位に立つ。上位には三菱電機やパナソニックも名を連ねる。
 欧州連合(EU)は住宅部門における「エネルギー転換のカギ」と位置付け、コロナ復興資金で普及を後押ししており、既存設備の7~8割が置き換わる見通しだ。国際エネルギー機関(IEA)は、EU内の年間販売台数が30年までの10年間で3倍超の700万台に達すると試算。パナソニックは「現状でも受注に応えきれていない」と投資を加速し、チェコにある主要工場の生産能力を14倍に増強する。
 市場拡大を見込み、韓国や中国、米国企業も参入してきている。首位を走るダイキン欧州の亀川隆行副社長は「どこがトップを取ってもおかしくない」と、競争激化を警戒。一方、地元欧州も「直ちに生産力を増強しなければ、アジア企業にシェアを奪われる」(ドイツ有力議員)と危機感を募らせている。

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