絶望の市民「街は死んだ」 住宅や病院、一斉に倒壊―大地震被災のトルコ・ハタイ県

東京, 2月12日, /AJMEDIA/

トルコで大地震被災地に指定された10県の中で最も深刻な被害が出ているとみられる南部ハタイ県。10日、中心部に入ると、5階建て以上の住宅や病院などが一斉に倒壊し、がれきの山となる惨状が広がっていた。市民らは「街は死んだ。もう元通りにはならない」と絶望していた。
 救急車のサイレンの音が鳴りやまない中心部アンタキヤ地区のアタチュルク通り。大きながれきの山で救助隊やボランティアが活動するそばで、疲労困憊(こんぱい)した表情の住民が輪になってたき火を囲む姿があちこちで見られた。
 多くの崩れた建物やがれきは、明確な境がなく連なっている。「通りは完全に破壊された。あらゆる建物がドミノのように倒壊した」(地元住民の39歳男性)。
 たき火に当たっていた女性トゥルカンさん(52)は、娘とその夫、孫の3人が行方不明になっていると説明。スマートフォンで孫の女児の写真を示し「この子は生後11カ月。今月22日の誕生日祝いの準備をしていた。娘には毎日3、4回電話していた。この心の痛みにどう耐えたらいいのか」と話し、泣き崩れた。
 発見された遺体の搬送が相次ぎ、捜索が未着手の場所も無数にある。トゥルカンさんの夫、ルトゥフラさん(59)は「ハタイは死んだ。おびただしい数の人が命を落とした。安心して住める建物はどこにあるのか」と語った。
 現地メディアによると、アンタキヤ地区では250世帯約1000人が暮らしていた大型マンションも倒壊した。マンションの開発責任者は10日、イスタンブール空港から多額の現金を持ってモンテネグロへ逃亡しようとしたところ、警察に身柄を拘束された。

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