結束問われる西側諸国 ウクライナ侵攻で「世界一変」―来週G7、NATO首脳会議

東京, 6月23日, /AJMEDIA/

 先進7カ国(G7)と北大西洋条約機構(NATO)の首脳会議が26日から連続して開かれる。ウクライナに侵攻したロシアや覇権主義を強める中国と西側諸国の分断が浮き彫りになる中、日米欧の結束が問われることになりそうだ。
 ◇ポスト冷戦の終わり
 「世界はもはや、この戦争の前と同じではない」。26~28日にドイツ南部エルマウで開かれるG7首脳会議(サミット)を控え、議長を務めるドイツのショルツ首相は2日、こう強調した。
 東西冷戦終結以降の「ポスト冷戦時代」は、ウクライナ侵攻とともに区切りを迎えた。欧州はこれまでロシアと経済的結び付きを強めてきたが、今や事実上の関係断絶を迫られ、新たな国際秩序を模索している。
 独政府高官によると、G7サミットのテーマは「公正な世界への前進」。対ロシア制裁やウクライナ支援にとどまらず、食料危機やインフラ投資、対中国や気候変動など議論すべき課題は山積している。
 ◇欧州安保も転換期
 エルマウからスペイン・マドリードに場所を移して29、30両日に行われるNATO首脳会議では、長年の中立政策を放棄した北欧のフィンランドとスウェーデンによるNATO加盟申請の承認の可否が最大の焦点となる。
 北欧2カ国の加盟に対してはトルコが難色を示し、早期承認の期待はしぼみつつあるが、2019年にフランスのマクロン大統領が「脳死状態」と酷評したNATOは、ロシアの侵攻開始後、急速に求心力を回復した。冷戦期から中立を掲げてきた2カ国のNATO加盟は、欧州の安全保障体制の転換点となる可能性がある。
 会議にはまた、岸田文雄首相が日本の首相として初めて出席するほか、韓国やオーストラリア、ニュージーランドの首脳が招待された。中国の拡張主義的な動きを念頭に置いたアジア太平洋の国々との連携強化も議題となる。
 ◇民主主義と権威主義
 ウクライナのゼレンスキー大統領は、いずれの会議にもオンラインで参加する予定だ。戦闘終結の道筋が見えない中、ジョンソン英首相は一連の会議を「長期的なウクライナ支援のための西側の団結と決意を示す機会」と位置付ける。
 対ロ制裁を強める西側諸国に対し、ロシアは中国に接近。英王立国際問題研究所のジェイミー・シェア氏は「(西側などの)民主主義陣営と(中ロなどの)権威主義陣営の争いというシナリオは現実のものになった」と指摘しており、冷戦期のようなイデオロギーを軸とした対立の構図が出現しつつある。
 ただ、マクロン氏が今月上旬に「ロシアに恥をかかせてはならない」と発言するなど、西側も一枚岩になり切れていない。対ロ制裁をはじめとする実利が絡む問題に関し、首脳同士の率直な議論を通じ調整を重ねる必要がある。

Follow us on social

Facebook Twitter Youtube

Related Posts