米独、武器支援で方針転換 ウクライナに戦車供与

東京, 1月27日, /AJMEDIA/

米、ドイツ両政府は25日、それぞれの主力戦車をウクライナに供与すると発表した。米独両国はこれまで戦車の供与に慎重姿勢を崩さなかったが、長い逡巡(しゅんじゅん)の末、足並みをそろえて方針転換した。
 「米国と欧州は完全に団結している。今回の発表では同盟国と緊密に連携している」。バイデン米大統領はホワイトハウスでの演説でこう強調し、独と綿密に調整したことをにじませた。
 米の「エイブラムス」、独の「レオパルト2」はいずれも世界最強クラスの性能で知られる主力戦車。ウクライナは領土奪還のための反転攻勢などを見据え、戦車の提供を再三求めてきたが、両国は渋ってきた。
 ショルツ独首相は「ウクライナに必要な支援を行うと同時に、ロシアと北大西洋条約機構(NATO)の戦争に発展しないようにしなければならない」と主張。2度の世界大戦の敗北やこれまでのロシアとの対話路線も踏まえ、武器支援で突出した行動を取ることに難色を示してきた。
 20日に独南西部で開かれた米政府主催のウクライナ支援国の会議でも、レオパルトを保有するポーランドなどからの強い要請にもかかわらず、独は供与に踏み出せなかった。その際に条件に掲げたのが、米もエイブラムスを供与することだったとされる。
 米もまた「エイブラムスは複雑で、維持管理も困難だ」(国防総省関係者)として、供与に長く否定的だった。しかし、戦車供与の是非を巡ってNATO内の不協和音が目立つようになり、米議会からも「優柔不断は貴重な時間を浪費し、プーチン(ロシア大統領)を増長させる」(民主党のブルメンタール上院議員)などとバイデン政権を突き上げる声が上がっていた。
 最終的に米が独の背中を押す形で同じ日に戦車供与を発表した。ただ、米シンクタンク「大西洋評議会」のジョン・ハーブスト上級部長は米独の決定を評価しつつ、「この遅れはウクライナの犠牲を増やし、紛争を長引かせるだけだ。米国はもっとうまくやるべきだ」と注文を付けた。

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