福田元首相、早期に日中首脳会談必要 信頼が外交の基本―日中国交正常化50周年

東京, 9月29日, /AJMEDIA/

 29日の日中国交正常化50周年について、中国との関係を重視してきた福田康夫元首相は時事通信のインタビューに応じ、沖縄県・尖閣諸島をめぐる問題などの解決に向けて、日中首脳会談を早期に開催するべきだと語った。福田元首相は、1978年の日中平和友好条約締結時の首相、赳夫氏の長男で、秘書官を務めていた。自らの首相在任時は、2008年に胡錦濤国家主席(当時)と「戦略的互恵関係」に関する共同声明を交わした。インタビュー要旨は次の通り。
 ―日中国交正常化は、田中角栄元首相と赳夫氏が争った72年の自民党総裁選の争点だった。
 田中氏が総裁選の合従連衡に使った。(田中氏に有利な)大義名分ができた。
 ―当時の自民党福田派には台湾と関係の深い議員が多かったが、赳夫氏はどう考えていたのか。
 若干時期尚早だという思いはあったかもしれない。台湾の失望は大きかったが、中国との関係正常化は当然と考えていた。
 ―赳夫氏は平和条約締結の当事者となった。
 「やる」と覚悟を決めると、(反対者が)身近な人物だから説得しやすい。一人ひとり説得した。
 ―国際情勢も影響した。
 そういう流れだった。中国も早く妥結したいという思いがあった。経済発展しないといけないと(中国で実権を握っていた)トウ小平は強く感じていた。環境が熟さないと外交交渉はうまくいかない。
 ―首相在任中に靖国神社を参拝した小泉純一郎氏の下で官房長官を務め、中国側と交渉したが。
 私が官房長官の間は首脳会談をちゃんとやっていた。日本の事情を説明して、誠実な対応をして相手を信頼させることが大事だ。外交の一番基本的なことだ。
 ―最近の中国をどう見るか。
 2014年ごろまでは、米国も中国に嫌がらせをすることはなかった。その後は厳しいことを言って中国が不愉快な思いをするケースが多いのではないか。
 ―尖閣問題などで日本の対中感情は悪化している。
 尖閣は(12年の日本政府による)国有化が大きかった。もう少しうまく丁寧に説明できなかったのか。残念ながら(当時の)民主党政権は(国有化を)平気でやった。その後、中国(公船)が積極的に尖閣周辺に出てくることになった。問題解決のためには首脳会談をするしかない。領土が関係するような核心的な問題について、下のレベルで話をつけることはできない。(中国は)隣国で大国だ。(日本政府の)上も下も会談せずにうまくいくわけがない。
 ―中国は8月に台湾周辺で実施した軍事演習で、日本の排他的経済水域(EEZ)にミサイルを発射した。
 ペロシ米下院議長による台湾訪問をめぐる(日本の態度に対する)反発だ。日本からバイデン米大統領に「(ペロシ氏の訪台は)良くない。緊張を高めるだけで何の利益もない」と言えば良かった。
 ―習近平国家主席は台湾統一に強い意欲を示している。
 習氏も国民も戦争は望んでいないだろう。そう簡単に統一しない。統一はいろんな手を使って段々と向かうと思う。

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