石油、代替先の確保難航も ロシア産「禁輸」、景気の足かせに

東京, 5月10日, /AJMEDIA/

 政府はウクライナ侵攻を続けるロシアへの追加制裁として、先進7カ国(G7)と足並みをそろえてロシア産石油の輸入を段階的に禁止する方針を表明した。原油輸入量に占めるロシア産の割合は3.6%にとどまるとはいえ、G7各国が「脱ロシア産」にかじを切る中、代替調達先を確保するのは容易ではない。原油相場はさらに上昇が見込まれ、景気回復の足かせとなる恐れも指摘されている。
 ロシアからの原油輸入量は、日量で約9万バレル。このうち、日本の政府や企業が関わる極東サハリン沖の石油・天然ガス開発事業「サハリン1」と「サハリン2」の産出分が43%を占める。岸田文雄首相は9日、サハリンプロジェクトについて「権益を維持する方針に変わりはない」と改めて表明。政府は残り5割超に当たる分の調達先探しを急ぐ。
 ただ、日本はこれまで、中東産の依存度引き下げに取り組んできた。当面は「中東以外で確保を進める」(経済産業省幹部)構えだが、代替先は限られそうだ。
 原油価格が一段と上昇する恐れも指摘されている。G7全体で見ると、原油、石油製品におけるロシア産の依存度は10.5%に上るとの試算もある。
 野村総合研究所の木内登英エグゼクティブ・エコノミストは、G7以外がロシア産を輸入しなければ世界的に需給がさらに逼迫(ひっぱく)し、「原油の価格は一段と上昇する」と指摘。資源価格の高騰がガソリンなど燃料価格の上昇を通じ、経済を圧迫する構図が長期化する恐れがある。

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