独首相、慎重姿勢を一転 米関与引き出す―戦車供与・ウクライナ

東京, 1月26日, /AJMEDIA/

ドイツのショルツ首相が慎重姿勢を一転させ、独製主力戦車「レオパルト2」のウクライナへの供与を決めた。戦闘のエスカレートを招くとして提供には及び腰だったが、周辺国からの圧力に加え、連立政権内からの突き上げも強まる中、米国の関与を引き出せるめどが付いたことで供与に転じた。
 ドイツはウクライナも戦場となった第2次大戦で敗北した歴史を背景に、ロシアのウクライナ侵攻開始当初から武器供与に後ろ向きだった。レオパルト投入で戦況が傾けば、ロシアの矛先が支援国に及ぶリスクも高まる。米国の「核の傘」に守られるドイツが単独でゴーサインを出すことへのちゅうちょもあったとみられる。
 ショルツ氏は「支援国と密接に調整することが大事」との方針を堅持。とりわけ米国の関与を引き出すことにこだわった。報道によると、17日のバイデン米大統領との電話会談で米国の戦車供与を要求し、前向きな言質を得たとされる。ただ米国防総省は軍事的には実用性に欠けるとして、戦車提供に反対の立場だった。
 一方、欧州ではレオパルト保有国のポーランドが本来必要な製造国ドイツの承認を経ずにウクライナに引き渡す姿勢を示したほか、バルト3国などはドイツの決断の遅さを強く批判。ドイツ国内でも対ロシア強硬派のベーアボック外相が「(ポーランドの)道をふさがない」と踏み込み、ショルツ氏を支える連立政権が揺らぐ事態になっていた。
 米国は北大西洋条約機構(NATO)の結束にひびが入りかねない状況を憂慮。ホワイトハウスや国務省は外交的な観点から戦車供与に傾いたもようだ。こうした流れを踏まえ、ショルツ氏としては一定の条件が整ったと判断したとみられる。ただウクライナ支援を巡り、ドイツの消極姿勢が浮き彫りとなったことで、今後にしこりが残りそうだ。

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