海外の半導体誘致へ基金創設…工場立地などの資金を複数年支援

東京, 12月04日, /AJMEDIA/

政府は、海外の半導体事業者の日本国内への設備投資を促すため、関連法を改正して基金を創設し、認定した事業者に対して日本での工場立地などに必要な資金を支援する方針を固めた。岸田内閣は経済安全保障の強化を掲げており、「産業のコメ」と呼ばれる半導体の確保を目指す。

 改正するのは、特定高度情報通信技術活用システム開発供給導入促進法と、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)法。近く改正法案を閣議決定し、6日に召集される臨時国会に提出する。

 法案では、海外事業者への助成金の原資として、経済産業省所管の独立行政法人であるNEDOに基金をつくる。この関連経費として、6170億円を今年度補正予算案に計上した。

 支援の対象は、高速・大容量通信規格「5G」のシステム構築に不可欠な「特定半導体」を製造する事業者に限られる。経産省による認定では、〈1〉計画内容の適切さ〈2〉半導体生産の継続性〈3〉工場立地の確実性〈4〉国内での安定的な半導体生産に資すること〈5〉技術情報の適切な管理――の5基準を全て満たすことが条件となる。

 日本で工場建設などを予定する事業者が経産省に施設の整備計画を提出し、認定された場合、複数年度にわたって助成金を交付する。事業者は、NEDOから支援を受けた金融機関から低利子の融資を受けることもできる。経産省は認定した計画に違反した事業者に対しては、助成金の返還を求める。

 日本の半導体産業は1980年代後半、世界シェアの半分を占めた。だが、現在は1割ほどの水準で、国内の半導体需要の6割強を台湾や中国などからの輸入に依存している。改正法案は、「特定半導体の需給の変動に対応できるよう、国内における安定的な生産を確保する」ことを基本理念に明記した。

 これまでは政府の資金で海外の半導体事業者の設備投資を支援する法的な仕組みはなかった。政府は法案が成立した場合、最初の支援先として、熊本県内に工場を建設すると表明した半導体受託製造の世界最大手・台湾積体電路製造(TSMC)を想定する。

 岸田首相は「TSMCだけではなく、米国のメーカーの誘致など様々な可能性を広げていく」と表明している。政府は法案を早期に成立させ、誘致の呼び水にしたい考えだ。

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