民、LGBT法案議論再開へ 差別発言の批判払拭狙う

東京, 2月8日, /AJMEDIA/

 自民党は、LGBTなど性的少数者への理解を増進するための議員立法について、近く党内論議を再開する方針だ。推進、慎重両派の意見対立で長くたなざらしにされてきたが、前首相秘書官の差別発言を受け、同党にも世論の厳しい目が向けられる中、早期成立に取り組む姿勢を示す必要があると判断。両派の間で妥協点を探る動きも出始めた。
 自民党の遠藤利明総務会長は7日の総務会で、党三役が6日に協議し、改めて法案審査を始めることを決めたと報告。この後の記者会見で「(党内に)理解を増進することへの反対は全くない」と強調した。
 法案は、政府に理解増進に向けた基本計画の策定を義務付ける内容。超党派の議員連盟が2021年5月にまとめた。同年夏の東京五輪・パラリンピック前の成立を目指す動きが一時強まったものの、条文にある「差別は許されない」との文言に自民党内の保守系議員が反発。「事実上の禁止規定となり、差別を理由とした訴訟が増える」との懸念からで、国会提出の最終関門となる総務会で了承を得られなかった。
 今回の差別発言をきっかけに、法案成立への機運が再び高まりつつある。公明党の山口那津男代表は7日の会見で、5月に広島市で開催される先進7カ国首脳会議(G7サミット)までに「日本の意思を明確に示すべきだ」と主張。自民党に速やかな対応を求めた。
 超党派議連は8日の役員会で、今国会成立を目指す方針を確認する。
 自民党幹部によると、岸田文雄首相も党側に議論進展を促しているという。首相周辺は「しっかり進めてほしい」と期待を示した。
 同党がこれまで慎重だったのは、「運び方を誤れば、党が真っ二つに割れかねない」(関係者)との危機感からだ。しかし、野党が「決められない自民党」を印象付けようと手ぐすね引く中、党内から「推進、慎重両派の接点を探るべきだ」(閣僚経験者)との声も上がっている。
 推進派の稲田朋美元防衛相は7日、ネックとなっている「差別は許されない」の文言について「『不当な差別はあってはならない』だったらいいとの声も(慎重派の間で)大きい。交渉の余地はある」と記者団に強調。一方、慎重派の西田昌司政調会長代理は、法案の内容を批判しつつ、「しっかり(文言を)整理すればできる」と歩み寄りの可能性もにじませた。

Follow us on social

Facebook Twitter Youtube

Related Posts