歴史認識、岸田首相の発言焦点 7日訪韓、尹氏と会談

東京, 5月7日, /AJMEDIA/

岸田文雄首相は7日、就任後初めて韓国を訪問し、尹錫悦大統領との首脳会談に臨む。両首脳は3月の会談で関係正常化で一致したが、首相が示した歴史認識には韓国内で「不十分」との不満が強い。一層の関係改善に向け、韓国の世論にも訴えかけるメッセージを出すかが焦点。8日に帰国する。
 首相は尹氏との再会に関し、「日韓関係の加速、国際情勢について腹を割った意見交換を行う機会になると期待している」と述べた。1日(日本時間2日)、訪問先のアフリカ西部ガーナで記者団の質問に答えた。
 日韓間で最大の懸案となっていた元徴用工問題で、韓国政府は3月上旬に解決策を発表し、首相も評価した。首相は同16日に東京で尹氏と会談した際に歴史認識に言及。植民地支配への「痛切な反省とおわび」を明記した1998年の日韓共同宣言など歴代内閣の立場を「全体として引き継ぐ」と表明した。
 ただ、直接の謝罪や反省がなかったとして韓国の野党は尹氏を強く批判する。日本政府関係者は「韓国内は、次は何かを言ってほしいという雰囲気だ」と指摘した。ただ、首相が歴史認識で踏み込んだ発言をすれば自民党内の保守系議員の反発を招きかねない。首相の表現ぶりを日韓双方が注視している。
 首相としては、前回の会談から間を置かず訪韓することで、元徴用工問題に関する尹氏の決断に応える姿勢を示す。輸出手続きを簡素化する「グループA(旧ホワイト国)」に韓国を復帰させる方針も会談で説明する。こうした「呼応」を通じ、関係正常化の流れを揺るぎないものにしたい考えだ。
 会談では、北朝鮮の核・ミサイル開発への対応で連携強化を確認する。首相は19~21日の先進7カ国首脳会議(G7広島サミット)に尹氏を招待した。これに合わせて開く日米韓首脳会談に向け認識も擦り合わせる。
 一方、日韓間の懸案の多くは残ったままだ。慰安婦問題や、2018年の韓国軍艦艇による自衛隊機への火器管制レーダー照射などを巡っては双方の立場に隔たりがあり、突っ込んだ協議は行われない見通し。首相は東京電力福島第1原発の処理水海洋放出への理解も求める構えだが、懸念が根強い韓国側の立場を覆すのは困難とみられる。

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