欧米通のベラルーシ外相「病死」 専門家「ロシア利する」

東京, 11月30日, /AJMEDIA/

 「欧州最後の独裁者」と呼ばれるルカシェンコ大統領が治めるベラルーシで10年間外相を務めたウラジーミル・マケイ氏が26日、急死した。死因は非公表で陰謀論がくすぶる一方、独立系メディアは心臓発作が原因と報道。専門家はマケイ氏が「欧米通」だったことから「結果的に治安機関とロシアを利する」と分析している。
 ベラルーシは、欧州連合(EU)とロシアに挟まれた地政学上の要衝。ルカシェンコ政権は2020年夏、大統領選に伴う反政権デモを弾圧し、プーチン政権に一層接近した。ウクライナ侵攻に間接的に協力する中、マケイ氏は自宅で体調を崩したとされる。
 マケイ氏は外交畑が長いが、ソ連軍参謀本部情報総局(GRU)大佐という経歴を持つ。大統領補佐官を経て、08~12年に大統領府長官を務めた要人。ルカシェンコ氏の潜在的な後継者という見方もあった。
 ベラルーシ問題に詳しいカーネギー国際平和財団の客員専門家アルチョム・シライブマン氏は27日の報告書で「マケイ氏はルカシェンコ氏に次いで有名な高官」と指摘。「政権内の欧米通という評判から、64歳での急死が数々の陰謀論をかき立てたのは無理もない」と解説した。
 「謎の死」についてシライブマン氏は、独立系メディア「ナーシャ・ニーワ」が早くも26日当日、関係者の話として心臓発作が原因と伝えたことに注目。仮に人為的な死であれば、独立系メディアが隠蔽(いんぺい)に加担するのは不自然だとし、病死という見方を採用している。
 ただ、政権内の欧米通という評価がある一方、弾圧された反政権派は今回の訃報に冷淡だ。大統領選候補で国外に逃れたスベトラーナ・チハノフスカヤ氏は通信アプリで「マケイ氏は国民を裏切り、独裁体制を支持した」と断罪した。

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