核廃絶「日米が指導力を」 バイデン氏の広島訪問機に―ルース元駐日大使

東京, 1月3日, /AJMEDIA/

バイデン米大統領は5月、広島で開催される先進7カ国首脳会議(G7サミット)に出席する見通しだ。現職米大統領の広島訪問は、2016年5月のオバマ大統領(当時)に続き2人目。ジョン・ルース元駐日米大使は22年12月、時事通信のインタビューに応じ、バイデン氏の訪問を機に、核兵器廃絶に向けた議論で「日米が指導力を発揮していくことが大事だ」と強調した。
 オバマ政権下の10年8月、ルース氏は広島市の平和記念式典に米大使として初めて出席。オバマ氏の広島訪問へ地ならしを行った。
 オバマ氏に指名されたルース氏は09年8月、駐日大使として着任。同10月には広島市の平和記念公園を訪問して原爆死没者慰霊碑に献花し、平和記念資料館も訪れた。「深く感銘を受けた」といい、翌10年に広島市から招待状が届くと「正しいことだ。タイミングも良い」と平和記念式典への出席を決断する。
 オバマ氏は09年4月にプラハでの演説で「核なき世界」実現を訴え、核軍縮を目指す決意を打ち出していた。その理念追求などが評価され、同年のノーベル平和賞を受賞。広島、長崎を訪れることにも意欲を示し、現職米大統領として初の被爆地訪問に向けた機運が急速に高まっていた。
 10年8月6日朝、ルース氏は平和記念式典に出席。式典は「非常に感動的で力強かった」。被爆者らも多数参列しており、「出席したことをとてもうれしく感じた。信じがたいほどの経験だった」と振り返る。
 ルース氏によると、出席はオバマ氏の支持を得ていたものの、被爆者らの反応に対する懸念もあった。だが、式典から退席する際に被爆者から拍手を受けたことで、「米大使が広島、長崎で起きたことを認めることが、被爆者らにとってどれほど重要だったか実感した。米国の前向きな一歩と受け取ってもらえたことに、感謝の念を抱いた」という。
 オバマ氏の広島訪問から7年近くが経過した今、ウクライナ侵攻を続けるロシアは核の威嚇を繰り返し、北朝鮮は核・ミサイル開発にまい進する。ルース氏は昨今の情勢を「より深刻だ。核兵器廃絶の重要性を新たなレベルへと押し上げている」と指摘する。
 ルース氏は、オバマ政権で副大統領を務めたバイデン氏の広島訪問について、受け継いだ「核なき世界」の理念を前に進めていくためにも「極めて重要だ」と強調する。
 その上で、世界で唯一、実戦で原爆を使用した米国と原爆を投下された日本という歴史的な経緯から、日米両国が他国にはない「独自の立場」に置かれていると説明。核兵器廃絶に向け、「日米が中心となって議論を進めていく必要がある」と語った。

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