本性見せたタリバン 米国との合意守らず―アフガン情勢に詳しい慶応大教授

東京, 8月15日, /AJMEDIA/

 2021年8月の政権掌握直後、アフガニスタンのイスラム主義組織タリバンは、独自のイスラム法解釈に反しない範囲で「女性の権利尊重」「報道の自由」などの原則を打ち出したが、次第に強権姿勢をあらわにした。アフガン情勢に詳しい慶応大の田中浩一郎教授は、「国際社会と接する際にオブラートに包まれていたタリバン」が組織の本性を見せ始めたと分析している。
 首都カブールでは7月末、アルカイダ最高指導者ザワヒリ容疑者が米軍に殺害された。田中氏は「タリバンがイスラム主義を組織の屋台骨としている以上(過激派指導者を)かばわないことはない」と説明。20年2月に米国とタリバンが合意した、アフガン国土をテロ組織に利用させないという取り決めは守られていないと語った。
 また、例えば中国を標的とするイスラム過激派の東トルキスタン独立勢力もかくまっているため、タリバン暫定政権は中国からも承認を得られないと分析。「国際社会から認められない状態」が続いたことで、タリバンが本来の強硬姿勢を隠さなくなったと解説した。
 タリバン内では、最強硬派で、過激派組織「イスラム国」(IS)との関係も疑われるハッカニ幹部が勢力を伸ばしているとみられる。内相代行に就任したことで「警察機構を利用し、情報収集のネットワークを広げている」という。
 国際社会は、資産凍結といった制裁強化でタリバンに対応したが、「制裁で一般市民が悲惨な状況に置かれる」現実も露呈。タリバンの強権支配が続く以上、「人道支援を超えたものを提供もできず、ジレンマに陥っている」状態だ。

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