日米台韓「半導体同盟」視野 バイデン政権、中国に対抗―日韓歴訪

東京, 5月21日, /AJMEDIA/

バイデン米大統領は20日からの日韓歴訪で、経済安全保障の観点から重要性が高まっている半導体のサプライチェーン(供給網)構築で連携を強化する方針だ。米中対立を背景に台湾海峡の地政学的リスクが強まる中、米国は半導体生産が集中する日韓や台湾と共に「半導体同盟(Chip4)」の結成を目指す。ハイテク技術で覇権を争う中国に対抗する構えだ。
 「韓国の新政権と供給網の問題について協力を深めたい」。バイデン氏は、同盟重視を掲げて5年ぶりに政権交代を果たした尹錫悦大統領と「対中国」で結束を強めたい意向だ。韓国到着直後に、サムスン電子の半導体工場を視察。サムスンは最先端半導体の量産で台湾積体電路製造(TSMC)と並ぶ「2強」と目される。
 半導体はスマートフォンから戦闘機まで用途が幅広く、国際競争力を左右する重要物資だ。米民間調査会社によると、世界の半導体生産能力の約8割が韓国、台湾、中国、日本のアジア4カ国に集中している。米国のシェアは1990年の37%から2021年に11%まで低下。一方で、中国のシェアは30年に世界最大になるとの試算もある。
 バイデン氏は中国の台湾侵攻による半導体供給網の寸断を警戒し、日米台韓が緊急時に協調するホットラインの新設を目指す。対中国で足並みをそろえるには「日韓関係の改善」(サリバン大統領補佐官)が不可欠との立場で、岸田文雄首相との首脳会談では、日本が19年に強化した対韓輸出規制の緩和も隠れたテーマとなる。
 米中ハイテク競争の主戦場である半導体は、バイデン氏が23日に発足を表明する米主導の経済圏構想「インド太平洋経済枠組み(IPEF)」の協力分野の柱。日韓両国もIPEFに参加する見通しで、国産半導体の育成を急ぐ中国との主導権争いを優位に進めたい考えだ。

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