日本初の月面着陸目指す 月探査機「SLIM」を公開 鹿児島

東京, 6月5日, /AJMEDIA/

日本初の月面着陸を目指す月探査機「SLIM」が、4日、鹿児島県の種子島宇宙センターで報道陣に公開されました。

「SLIM」は、精密な着陸技術の実証と月の岩石などを調べるため、日本初の月面への着陸を計画している、JAXA=宇宙航空研究開発機構の無人探査機です。

高さおよそ2.4メートル、重さおよそ200キロで、デジタルカメラなどで人の顔を認識するのに使われる「画像認識」の技術を応用することで、クレーターなどの地形の情報を識別して探査機の位置を把握し、誤差100メートル以内で目標地点に着陸することを目指しています。

JAXAは「SLIM」などを搭載したH2Aロケット47号機について、ことし5月の打ち上げを目指していましたが、新型ロケット「H3」初号機の打ち上げ失敗の影響を見極める必要が生じたため、打ち上げ時期が8月以降に変更されています。

月への着陸が成功すれば世界で4か国目で、得られたデータは、宇宙飛行士の月への着陸を目指すアメリカの国際プロジェクト「アルテミス計画」にも利用されることになっています。

JAXAのSLIMプロジェクトチームの坂井真一郎プロジェクトマネージャは「世界に先駆けた新しい挑戦です。打ち上げまでの最後のフェーズにさしかかるため、気を引き締めて着実な成功を目指したい」と話していました。

月面探査で月の起源に迫ることできるか
月探査機「SLIM」は、着陸に成功したあと、謎の多い「月の起源」の解明につながる探査を行う予定で、日本初の月面探査で月の起源に迫ることができるか注目されます。

月がどのように生まれたのかについては、これまでさまざまな仮説が出されてきましたが、現在、最も有力とされているのは、「ジャイアント・インパクト説」という、別の天体が地球に衝突し、地殻の下にある岩石の層=マントルの一部が月になったとする説です。

「SLIM」にはJAXAや立命館大学、会津大学などのチームが開発した「マルチバンドカメラ」という重さ4キロほどの特殊なカメラが搭載されていて、月面の鉱物に含まれる鉄の量などを測定することができます。

着陸を予定しているエリアには、かつて月の内部にあった鉱物の一種「カンラン石」が月面に露出しているとみられ、測定の結果、鉱物の成分が地球のマントルと似ていれば、「ジャイアント・インパクト説」を補強する成果になると考えられています。

カメラの開発責任者で、立命館大学の佐伯和人教授は、「SLIMはマントルが表面に露出しているとされるエリアに着陸できるため、分析の精度が上がると期待している。これまでの周回衛星の観測で長年気になっていた地域であるため、どんなデータがとれるかワクワクしている」と話しています。

このほか、探査機には月面を走行して撮影する小型のロボットや、飛び跳ねるように移動しながら月面の撮影や地上との通信を行う小型のロボットが搭載される予定です。

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