日朝、状況整えば交渉可能性 対米重視、核開発にまい進―専門家

東京, 9月17日, /AJMEDIA/

 2002年9月の初の日朝首脳会談から17日で20年になるが、米国との対立姿勢を鮮明にし、核開発にまい進する北朝鮮にとって、日本への関心は薄まったかにも見える。今後、日朝関係進展の可能性はあるのか。専門家は、状況が整えば北朝鮮が交渉に乗り出す可能性があると指摘する。
 「絶対に核を放棄できない」。今月8日、平壌で開かれた最高人民会議(国会に相当)で金正恩朝鮮労働党総書記はこう訴えた。米国の狙いは北朝鮮に核を放棄させ、政権を崩壊させることだと主張し、強い不信感を表明した形だ。ミサイル発射を繰り返し、7回目の核実験の実施も懸念される北朝鮮について、南山大の平岩俊司教授(現代朝鮮論)は「核・ミサイルに関しては米国を交渉相手と見ている」と語る。
 一方、「その他の国は、有利に使えるなら使おうとしている」とも分析。02年の首脳会談で発表された日朝平壌宣言には、過去の清算として国交正常化後の経済協力が盛り込まれており、平岩教授は「北朝鮮が頭を下げなくてももらえるお金」と解説する。「(核問題の進展など)一定の条件が整えば、日本との交渉に応じるだろう」とみる。
 日朝関係に詳しい津田塾大の朴正鎮教授は、日朝平壌宣言や14年5月に日朝両政府が交わした「ストックホルム合意」といった協議の進展が見られた時期は、核問題に進展がない時期だったと指摘。「米朝関係が途絶え、南北関係が動かない場合に、日本という存在が浮上する可能性がある」と訴える。
 これまでの交渉で浮き彫りになったのが、拉致問題解決を最重要課題とする日本側と、国交正常化交渉の流れの中で拉致を扱いたい北朝鮮側の立場の違いだ。ストックホルム合意では、拉致被害者のほか、特定失踪者や帰国事業で北朝鮮に渡った日本人妻、終戦前後に亡くなった日本人の遺骨の問題について、北朝鮮が再調査すると約束したものの、協議の過程で立場の違いが鮮明になった。平岩教授は「北朝鮮はやりやすい問題から手を付けて、日本側の国交正常化への本気度を探りたいのだろう」と読み解く。
 朴教授は、北朝鮮がストックホルム合意後の16年に外務省傘下の日本研究所を設立したことについて「今後の日朝関係に向けた体制を準備しているかにも見える」と説明。「発する言葉は厳しいが準備はしている」と述べ、日本側の出方次第では交渉に応じる余地があるとの見解を示した。

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