既存配管使い水素パイプライン 脱炭素に貢献、安全対策へ実証―NTT

東京, 8月19日, /AJMEDIA/

 NTTは、既存の地下配管を活用した水素パイプラインの実現に向けて実証事業に乗り出す。産業技術総合研究所、豊田通商と共同で安全対策を検証する。燃やしても二酸化炭素(CO2)を出さない水素はクリーンなエネルギーとして期待が大きい。水素の新たな輸送手段として、全国に張り巡らされた電話線の配管を生かした供給網が誕生するかもしれない。
 国内では、高圧ガスや液化水素による車両輸送が普及している。ただ、輸送や圧縮・液化にはエネルギーが必要で、大量輸送の面でも十分とは言えない。一方、パイプラインは大量・安定輸送に適しているが、新設するには多くの時間と費用がかかる。
 NTTなどが取り組むのは、既設の配管内に水素用の管を通してパイプラインにする手法だ。通信ケーブルの管路は約62万キロメートルで、中には予備として使っていない配管もあり、有効活用が可能だ。実証事業に臨むNTTアノードエナジー(東京)は「初期コストを大きく下げられる」と自信を示す。
 実証では、水素輸送を実現する上で必要な安全性の確保に取り組む。福島県に実証用の模型を構築し、水素に反応する光ファイバーの性質を生かした漏えい検知システムや、人工知能(AI)を使った異常の予知などを検証する。展示用のモデル事業も別途検討する。
 実証は、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)からの委託調査として行う。NEDOは実証結果を新たな研究開発や安全基準などのルール作りに生かす。ただ、実用化には法律の整備なども必要で、パイプラインの実現は少し先の話になりそうだ。

Follow us on social

Facebook Twitter Youtube

Related Posts