新型迎撃ミサイル納入 海自イージス艦、順次配備―存立危機事態使用も・防衛省

東京, 5月16日, /AJMEDIA/

日米が共同開発した新型迎撃ミサイル「SM3ブロック2A」について、米政府が有償軍事援助(FMS)に基づき、防衛省に納入したことが15日、同省関係者への取材で分かった。海上自衛隊のイージス艦に順次、配備される。
 北朝鮮の弾道ミサイルに対する防空能力が向上する一方、「存立危機事態」に認定されれば、米国の領域に向かうミサイル迎撃に使用される可能性もある。米政府の公表資料などによると、ブロック2Aは1発約40億円(推定)。防衛省はこれまでに取得費計1787億円の予算を計上しているが、納入されたのはその一部。米国で製造された。
 日米は2006年度からブロック2Aの共同開発に着手。米側がレイセオン・テクノロジーズ、日本側は三菱重工業が中心に開発を進めた。
 推進力や目標の識別能力が向上し、迎撃高度が従来型の約2倍の1000キロ超とされる。防護範囲が拡大し、通常角度より高い角度で撃つ「ロフテッド軌道」への対処能力も増す。昨年11月には海自イージス艦がハワイ沖で、試験用に取得したブロック2Aによる標的迎撃に成功している。
 防衛省関係者によると、米国防総省傘下の国防安全保障協力局から今年3月末までに、配備用としてブロック2Aが海自に引き渡された。横須賀(神奈川県)、舞鶴(京都府)、佐世保(長崎県)各基地のイージス艦のうち、「まや」「あたご」型の計4隻に搭載できる。
 撃ち漏らした場合には、航空自衛隊の地対空誘導弾パトリオット(PAC3)で迎撃する。
 安全保障関連法は、米国のような密接な関係にある国への武力攻撃により、日本が危機に直面する状態を存立危機事態と定義。同事態と認定され武力行使の要件を満たせば、日本が攻撃されていなくても、集団的自衛権を行使して米に向かうミサイルを迎撃できる。
 昨年10月に北朝鮮が発射し、青森県上空を通過した弾道ミサイルの高度は約1000キロに達し、約4600キロ飛行して太平洋に落下。米軍の戦略爆撃機や原子力潜水艦の拠点があるグアムを射程に収める能力を誇示したとみられる。

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