新型コロナ 専門家「インフルのような病気になったと言えず」

東京, 5月9日, /AJMEDIA/

新型コロナウイルスの感染症法上の位置づけが、8日、季節性インフルエンザなどと同じ「5類」となったことについて、コロナ対策にあたる政府分科会のメンバーで東邦大学の舘田一博教授は、NHKの取材に対し、「治療薬は非常に高価な上、どの医師でも処方できるようにはなっておらず、季節性インフルエンザと同じような病気になったとは言えない。できる範囲の感染対策は維持してほしい」と話しています。

コロナ対策にあたる政府分科会のメンバーで東邦大学の舘田一博教授は、「WHO=世界保健機関も新型コロナの感染拡大を受けて出していた『国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態』の宣言を終了したと発表し、世界的に見てもコロナ対策は大きな節目を迎えていると言える。しかし、ウイルスはまだ世界中に潜んでいて、日本でも1日に1万人以上が感染し、少なくなったとは言え、死亡者も毎日報告されている」と指摘しました。

高齢者や基礎疾患がある人を守る対策を
その上で、「5類になったからといって感染を防ぐためのガードをすべて下げると、感染者数は一気に増加し、高齢者や基礎疾患がある人たちに広がり、重症患者の増加につながるリスクが生まれる。また、治療薬は非常に高価な上、どの医師でも処方できるようにはなっておらず、季節性インフルエンザと同じような病気になったとは言えない」と指摘しています。

そして、「若い元気な人たちはコロナ前の日常を取り戻すような行動に切り替えつつ、できる範囲の感染対策は維持してほしい。また、高齢者や基礎疾患がある人たちに接するような場面では、マスクを積極的に着けるなどして、こうした人たちを感染から守る対策を続けていくことが大事だ。また、5類移行によって検査や外来診療の費用などが自己負担に見直されるが、高齢者施設などでは今までと同じように検査を速やかに受けられ、陽性者が見つかった場合は治療薬の投与を早く行える体制を維持することで、受診控えによるクラスターを起こさないようにすることが大事だ」と話しています。
水面下で感染拡大の可能性も 正確な把握は難しく
また、現在の感染状況について「感染者の増え方は横ばいになっているが、大型連休の影響で検査を受ける人が少なくなっているとみられ、水面下では感染が着々と広がっている可能性がある」と評価しています。

そのうえで「行動制限や水際対策が大幅に緩和された中での連休となり、感染拡大の傾向は今後も続くと考えられる。連休明けの今週から来週にかけて爆発的な感染拡大が起きないか、注意して見る必要があるが、新型コロナウイルスの感染症法上の位置づけが5類に移行するのにともない、感染者数の報告は週に1回の『定点把握』によるものとなるため、今までより正確な感染者数の把握が難しくなる。入院患者の数や重症患者の数など、医療現場のひっ迫の度合いも把握しながら、これまでのデータと継続性を持たせて、感染状況を評価することが重要だ」と指摘しています。

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