敵基地攻撃、保有議論加速へ ミサイル連続発射に危機感―政府・自民

東京, 6月7日, /AJMEDIA/

 北朝鮮による弾道ミサイルの連続発射を受け、政府・自民党は敵基地攻撃能力の保有を視野に、防衛力強化の議論を加速させる構えだ。多数のミサイルを同時に発射することで迎撃を難しくする「飽和攻撃」への危機感が背景にある。ただ、党内には拙速な対応を危惧する声も根強い。連立を組む公明党も慎重で、議論は曲折が予想される。
 「いわゆる反撃能力も含め、あらゆる選択肢を検討し、防衛力の抜本的強化に取り組む」。松野博一官房長官は6日、自民党が敵基地攻撃能力を表す用語として提唱する「反撃能力」を初めて定例の記者会見で用いつつ、国家安全保障戦略などの年内改定へ議論を急ぐ考えを示した。
 北朝鮮は5日、8発の短距離弾道ミサイルを1時間足らずの間に4カ所から発射。1日当たりの発射数としては過去最多となる。政府内は「飽和攻撃に必要な連続発射能力の向上」(岸信夫防衛相)を目指す動きとの見方がもっぱらだ。
 日本の弾道ミサイル防衛は、イージス艦と地対空誘導弾パトリオット(PAC3)の二段構え。しかし、飽和攻撃などに対しては「迎撃のみで防衛しきれない恐れがある」(自民党関係者)とされる。
 自民党タカ派は議論を進める好機と勢いづく。防衛族議員の一人は「今回の発射で脅威の度合いが高まった」と指摘。副大臣経験者は「反撃能力を保有しないと駄目だ」と言い切った。
 これに対し、公明党は「絶対反対だった姿勢が軟化しつつある」(関係者)とされるが、幹部の一人は「先制攻撃と取られかねない」と懸念を口にする。自民党の閣僚経験者も「北朝鮮の動きに乗じ、勇ましい発言が続くのは好ましくない。落ち着いて議論すべきだ」とクギを刺した。

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