政府、不測の事態警戒 中国に自制促す―ペロシ氏訪台

東京, 8月4日, /AJMEDIA/

 米国のペロシ下院議長の台湾訪問で米中の緊張が高まっている現状を受け、日本政府は不測の事態に発展することを警戒している。中国軍は日本の排他的経済水域(EEZ)を含む台湾周辺で実弾による軍事演習を行うと発表。米中の行き違いから「突発的な衝突」が起きかねないとの懸念がくすぶる。
 松野博一官房長官は3日の記者会見で「中国が発表した一連の軍事活動には懸念を有している」と語り、中国側に自制を促したことを明らかにした。台湾問題が「対話により平和的に解決されることを期待する」との立場も重ねて示した。
 2日夜、ペロシ氏一行を乗せた米軍の輸送機が台湾に到着すると、中国は強く反発。4日正午から台湾を取り囲む6カ所の海空域で「実弾射撃訓練」を行うと予告した。この中には台湾東側の日本のEEZも含まれ、1995~96年の台湾危機で中国がミサイルを撃ち込んだ地点より日本に近い。
 中国が強硬な姿勢を見せる背景をめぐっては、習近平指導部の3期目入りが懸かる共産党大会を秋に控えた「国内的なポーズ」との見方も強く、政府関係者は「中国は状況を管理できる」とみる。ただ、米中とも台湾近海に艦艇を展開していると伝えられ、ある自民党国防族議員は「緊張の積み重ねで『本番』が近づく」と警鐘を鳴らす。
 岸田文雄首相は3日午前、エマニュエル駐日米大使と首相官邸で約30分間会談し、ペロシ氏来日について協議した。外務省関係者によると、来日は4日で、首相とは5日に面会する予定。台湾情勢や米中関係をめぐり意見を交わす見通しだ。
 日本政府はペロシ氏の訪台自体については「ノーコメント」として論評しない姿勢。支持を表明すれば中国の非難は日本にも向かうとみられ、首相周辺は「踏み込まないことに尽きる」と強調する。
 ただ、自民党外交部会長の佐藤正久参院議員は3日の党会合で「日米が台湾に連帯しない選択肢はない。ペロシ氏の台湾訪問は連帯を示す上で重要だった」と発言した。こうした声が強まれば、首相が難しい立場に立たされる可能性もある。

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