攻撃的核戦略、前面に 日米韓と対決姿勢鮮明―北朝鮮

東京, 1月3日, /AJMEDIA/

北朝鮮の金正恩朝鮮労働党総書記は2023年を迎えるに当たり、実戦使用を想定した攻撃的な核戦略を前面に掲げた。異例の頻度でミサイル発射を繰り返した22年に続き、日米韓と核戦力で対決する姿勢を鮮明にした。一触即発の危機と言われた17年の軍事的緊張の再来を懸念する見方が強まっている。
 「核心的な攻撃型兵器で、敵を圧倒的に制圧できる。本当に感慨無量だ」。党中央委員会総会最終日の12月31日、正恩氏は日米韓が短距離弾道ミサイルと見なす「超大型放射砲(多連装ロケット砲)」が実戦配備段階に入ったとして、軍需部門関係者を称賛。韓国全域を射程に収め、戦術核搭載が可能だと主張し、「核には核で、正面対決には正面対決で、という断固たる意志」を強調した。
 正恩氏は総会での報告で、戦術核の量産や核弾頭保有量の増加に加え、固体燃料によるとみられる「迅速な核反撃能力を使命とする大陸間弾道ミサイル(ICBM)」の開発も表明。「核戦力は戦争の抑止と平和・安全を守ることを第1の使命とするが、抑止が失敗したときは、防衛とは異なる第2の使命も決行する」と明言した。昨年9月の核使用の法制化で先制攻撃の可能性を示していたが、さらに明確にした格好だ。
 現在の国際情勢を「新冷戦」と見なす正恩氏は、日米韓に対し「物理的な力を一層確かなものにする実際の行動に移行する」と強調。韓国を「疑う余地のない明白な敵」と位置付け、日本などを念頭に「米国の同盟戦略に便乗し、わが国の尊厳と自主権を簒奪し始めた国々」にも警告を発した。
 韓国の金東葉・北韓大学院大教授は「核保有量の増加で、非核化は事実上不可能になる。(核保有を前提とした)軍縮交渉を求める可能性もある」と指摘。通常角度でのICBM発射や、新型潜水艦からの弾道ミサイル(SLBM)発射などを挙げ「米国などとの正面対決の方向性を具体的な行動で示すだろう」と展望した。
 中国で新型コロナウイルス感染が爆発的に広がったことで、北朝鮮での流行再燃の可能性も指摘される。国境封鎖による深刻な経済難が続く見通しで、日米韓との対決姿勢を強めて国内の不満を抑え込むしかない事情もあるとみられる。22年を「史上最悪の挑戦に直面した」と振り返った正恩氏は「幸運や外部の助けではなく、ひたすら自らの力で難局を打開する」と訴えた。

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