捜査の手、ボルソナロ氏にも 首謀者特定は難航か―首都中枢襲撃から1週間・ブラジル

東京, 1月15日, /AJMEDIA/

ブラジルの首都ブラジリア中枢の「三権広場」を囲む大統領府、連邦議会、最高裁が右派ボルソナロ前大統領の支持者に襲撃された事件は15日、発生から1週間を迎える。1日に就任したばかりの左派のルラ大統領は、祝賀ムードを吹き飛ばした前代未聞の「テロ行為」に怒り心頭。参加者や資金提供者、政府や治安機関側の「内通者」の洗い出しに躍起となっており、捜査の手は米国滞在中のボルソナロ氏にも伸びつつある。
 ルラ氏は事件を「無責任で反民主主義的、破壊的なファシストの行為」と糾弾。治安権限を地元自治体から連邦政府に移す「連邦介入令」を出し、事件当日夜には沈静化に成功した。
 最高裁判事は治安維持の職務を怠った疑いで、8日に首都連邦直轄区知事の職務停止を命令。直轄区の治安責任者だったトレス前公安局長と警察最高幹部が14日までに相次いで拘束された。連邦検察庁は13日、支持者に襲撃を「教唆」した疑いがあるとして、ボルソナロ氏を捜査対象に含めるよう最高裁に要請し、認められた。
 一方、当局は支持者らに移動手段などを提供した個人や企業を特定し、資産を凍結するなどした上で背後関係を追及している。ただ、ボルソナロ氏支持者はインターネット交流サイト(SNS)などで緩やかにつながっているとみられ、襲撃の首謀者特定は難航が予想される。
 8日の事件では、ボルソナロ氏が僅差で再選を逃した昨年の大統領選に不正があったと訴える支持者ら約4000人が、全国各地から貸し切りバスなどで首都に集結。三権広場になだれ込み、一部が各建物に侵入して乱行を働いた。参加者の一人は「司法は選挙結果を見直そうとしない。民主主義が機能しておらず、行動を起こすしかなかった」と動機を語っている。
 支持者らの統率がある程度取れ、治安部隊への挑発を極力控えたほか、治安部隊側が強硬手段に踏み切らなかったことから、死者や重傷者は出ていない。それでも一時は1400人以上が逮捕され、襲われた建物の備品や装飾品などの被害総額は数億円を下らないとみられる。
 事件の責任を巡る世論は割れている。大手調査機関ダタフォリャが12日に公表した世論調査結果では、93%が襲撃に「反対」と回答。ただし、ボルソナロ氏に「大きな責任がある」は38%、「少しは責任がある」は17%で、39%は「全く責任はない」と答えた。

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