情熱あふれる世界王者 「PHIL WIZARD」―ブレイキン

東京, 5月9日, /AJMEDIA/

ブレイキン(ブレイクダンス)で昨年の世界選手権を制した男子のフィリップ・キム(26)=ダンサー名PHIL WIZARD=は、あふれる向上心と情熱でトップに上り詰めた。派手な動きやパフォーマンスとは一線を画し、柔軟性を生かした流麗な演技で自分の世界に引き込む。「常に新しいことに挑戦している。人生は可能性に満ちあふれているからね」と屈託のない笑顔で話す。
 韓国人の両親を持ち、カナダで生まれ育った。ブレイキンを始めたのは12歳の時。バンクーバーの路上でパフォーマンスを見て、「経験したことのない衝撃を受けた」。すぐに動画を検索して練習に没頭した。見よう見まねで動きを覚えたことが、独創的なスタイルにつながったという。
 大学進学後、もやもやした思いを抱いていた。「自分は両親が望んでいたからそこにいただけだった。これでいいのかと」。考えた末、1年たたずに中退してダンスで生計を立てる決断をした。
 駆け出しの頃は収入が安定しなかったが、「好きなことで生きていけるのは幸せ。苦しいと思わなかった」。対面レッスンが制限された新型コロナウイルス下では、オンラインなどで工夫した。
 世界選手権決勝で退けた日本のエース、半井重幸(SHIGEKIX)とは、来日時に一緒に練習するなど交流が深い。「ブレイキンの文化は相手の尊重。敵と思ったことはない」と言う。2人は「仲の良い友達」と口をそろえ、切磋琢磨(せっさたくま)している。
 来年のパリ五輪は金メダル候補に挙がる。初代王者を決める舞台は観光名所のコンコルド広場。「選手にとっても観客にとっても魅力的。世界のみんなにブレイキンの良さを見せたい」と心躍らせている。

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