広がる選挙区、自民3人が神経戦 1減も将来戻る可能性―衆院・岡山

東京, 1月29日, /AJMEDIA/

 「保守王国」岡山県も衆院小選挙区「10増10減」により、定数が5から4に減る。県内面積の7割を占める巨大な新3区が誕生し、閣僚、中堅、若手の自民党現職3人が神経戦を展開しながら、党本部裁定を待ち続ける。次回の都道府県への議席配分見直しで、選挙区が再び5に戻る可能性もある。(敬称略)
 ◇「党の決定待つ」
 1月15日、厚生労働相・加藤勝信(67)が県南西部の井原市の公園で開かれた行事で、餅つきを行った。加藤が地盤とする県西部の5区は、県北部の3区の多くを取り込み新3区となる。
 加藤は当選7回。官房長官や党総務会長も歴任したが、「どぶ板選挙」を徹底する。「地域にいろんな実情がある。しっかり聞いて国全体の議論をしていく。こういうつながりは大事だ」。加藤が記者に説いた。
 ベテラン県議は「国政選挙は『風』次第でどうなるか分からない。先生ならどんな風が吹いても大丈夫だ」と語り、加藤が新3区支部長にふさわしいと太鼓判を押す。本人は「党の決定を待つ」と言葉少なだ。
 ◇世襲VS元刺客
 1期生の平沼正二郎(43)、元外務副大臣の阿部俊子(63)も新3区での立候補を狙う。
 14日夜、県北東部の津山市内で開かれた自民県議の集会。平沼は100人程度を前に訴えた。「一昨年の選挙、皆さまのお世話になってこうした(議員という)立場をいただいた。やはりバッジがないと仕事ができない」。
 経済産業相などを務めた父赳夫から地盤を譲り受けた。父の現職当時、05年の郵政選挙で阿部が「刺客」として3区に送り込まれて以来、激しい保守分裂選挙が続いた。平沼は21年の前回衆院選で無所属ながら初勝利、自民入りした。「私は選挙区で当選した。党本部はそこをどう考慮するかだ」と述べ、支部長就任に意欲を示す。
 だが、党内では「加藤優位」の見方が多い。平沼は仮に公認争いで負ければ、比例中国ブロック名簿で優遇してもらうことに望みをつなぐ。将来の衆院選での選挙区再起も視野に入れる。
 将来推計人口に基づく衆院調査局の試算によると、岡山は30年に再び定数5に戻る可能性が高い。周囲は「将来、選挙区に戻れるよう後援会組織をしっかり守る」と誓う。
 ◇比例も削減
 「(地元の)津山から片道1時間45分かけて来た。これ(あいさつ)が終わったら帰らせていただく」。阿部は21日、新1区の岡山市北区に駆け付け、元秘書の県議への支援を呼び掛けたが、3区にとんぼ返りした。
 当選6回のうち5回は比例復活。平沼家の厚い地盤に阻まれ、苦戦が続いた。選挙区での勝利は、平沼が初陣となった17年衆院選だけ。党執行部は次期衆院選で、比例復活の多い現職の支部長選任には慎重だ。
 「国替えするしかないのではないか」。地元では阿部が厳しい立場に置かれたと悲観論が漂う。それでも阿部は取材に「他の選挙区が空いたから移る、とは言わない」と強気の姿勢で、国替えを拒んだ。
 党県連は3人の調整は困難とみて、党本部にげたを預けた。中国地方では広島、山口でも選挙区が1減、各地から比例優遇を求める声が相次ぐとみられる。ただ「1票の格差」是正のために比例中国の定数も1減となった。党本部関係者は「岡山で(選挙区で出馬できない)2人を比例優遇すると他県が黙っていないだろう」と頭を悩ます。

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