広がる「ヘルプマーク」 誕生10年、全国に普及―ネット転売など課題も

東京, 8月10日, /AJMEDIA/

 義足や難病など、外見からは気付かれにくいが配慮や助けを必要とする人が、身に着けて周囲に知らせる「ヘルプマーク」を東京都が作成してから今年で10年になる。昨年10月には全都道府県で無料配布されるようになり、使い方の工夫が進む一方、インターネット上での転売といった新たな問題も出てきている。
 ヘルプマークは2012年、人工股関節を使う東京都議の提案がきっかけで誕生した。赤地に白い十字とハートのデザインで、かばんなどに付ける。必要な支援内容や緊急連絡先を記載して持ち歩く「ヘルプカード」もある。
 墨田区は昨年3月、周囲に理解してほしいことを記した「ヘルプシール」を新たに作成した。障害者団体の意見を採り入れて作った29種類から、周りに伝えたい内容を選び、ヘルプマークなどに貼って使用する。
 発達障害でマスクを着けられない小学1年の娘(6)がいる公務員の女性(37)=同区=は「発達障害があります」「マスクがつけられません」の2枚のシールをもらった。「ぱっと見て伝えたいことが分かる。イラストも交えて短文で書いてあるので分かりやすい」と評価する。区の担当者は「障害があっても平等に社会で生きていくための助けになれば」と期待する。
 一方、普及に伴って転売などの問題も起きている。ネットオークションサイトで、本来無料で配布されているヘルプマークが1個800円前後で出品されたケースがあった。
 対策として、石川県ではヘルプマークを受け取る際、交付申請書に氏名や住所を記入するよう求め、原則1人1個としている。都も注意喚起しているが、担当者は「法律違反ではないので強くは言えない」と対応の難しさを明かす。事情があって複数のマークが必要な人もいるため、1人に配布する数を制限することは考えていないという。この担当者は「『全国どこでも必要な配慮を』という思いは10年たっても変わらない。(今後も)ヘルプマークの意味を多くの人に知ってもらいたい」と話した。

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