岸田首相「正々堂々」に疑問符 防衛・原発、正面から答えず

東京, 1月28日, /AJMEDIA/

 通常国会の論戦の幕開けとなる3日間の各党代表質問が27日終了した。防衛力の抜本的強化を含む昨年暮れの一連の政策転換について、岸田文雄首相は施政方針演説で「国会の場で正々堂々議論する」と宣言したが、質問とかみ合わない答弁も目立ち、野党からは「『正々堂々』と真逆だ」(立憲民主党の泉健太代表)と批判が上がった。
 「政権の決定を踏まえ、与野党と活発な国会論戦を行い、それによって国民への丁寧な説明も行う。議会制民主主義無視との指摘は当たらない」。首相は27日の参院本会議で、国会閉会中の政策転換に対する批判に反論した。
 もっとも、首相の答弁が「丁寧」なのかには疑問符が付く。象徴的だったのは防衛力強化を巡る発言。政府は昨年12月に1兆円強の増税方針を決めたにもかかわらず、首相は代表質問初日に「将来世代への責任として対応する」と直接的な表現を避けた。野党から「増税隠し」と反発を受け、翌26日に「税制措置で協力をお願いする」と語った。
 反撃能力(敵基地攻撃能力)の攻撃対象に指揮命令系統などが含まれるかどうかは「状況に照らして判断する」と明言しなかった。かつて師事した古賀誠自民党元幹事長が反撃能力について「完全に専守防衛を逸脱してしまう」と述べたことへの見解を問われても、根拠を明示しないまま「専守防衛から逸脱するものではない」と従来見解を繰り返した。
 「原発の最大限活用」方針では、高レベル放射性廃棄物の最終処分地選定に向け「政府から自治体に調査の検討などを段階的に申し入れる」と踏み込んだ。ただ「原発依存度を低減」としていた衆院選公約などとの矛盾を突かれても、「日本は再生可能エネルギーの適地が限られ、原子力を含めたあらゆるエネルギー源の活用を進める必要がある」と正面から答えなかった。
 「異次元の少子化対策」については、児童手当の所得制限廃止を与野党から再三求められ、「国会での議論も踏まえつつ、具体策の検討を進める」と表明。だが、焦点の財源に関しては当面の消費税増税を否定しただけで「(対策の)内容を具体化した上で、社会全体でどう安定的に支えていくか考えていきたい」と述べるにとどめた。
 泉氏は初日の質問後に「異次元の説明不足」と首相をこき下ろしたのに続き、27日の記者会見で「異次元のはぐらかしは(3日間で)全く変化が見られない。食えない答弁を続けられては、国会が機能不全に陥る」と批判した。野党は30日からの衆院予算委員会で首相を徹底追及する方針だ。

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