岸田首相「平時」移行へ大きくかじ 政権浮揚を意識、再拡大なら責任論も―新型コロナ

東京, 1月21日, /AJMEDIA/

 岸田文雄首相が、3年間に及ぶ新型コロナウイルス対策の「平時」移行に、大きくかじを切った。感染症法上の位置付けを季節性インフルエンザと同じ「5類」に引き下げる方針を表明。4月の統一地方選や衆院補欠選挙をにらみ、社会経済活動の正常化に道筋を付け、政権浮揚を図る思惑も透ける。ただ、今後の感染状況次第では判断の是非が問われかねず、首相は大きな政治責任を負うことになる。
 「ウィズコロナの取り組みをさらに進め、平時の日本を取り戻していく」。首相は20日、5類移行の検討を関係閣僚に指示した後、首相官邸で記者団にこう宣言した。
 オミクロン株への置き換わりに伴い、重症化率や致死率は低下傾向を示している。政府はこれを踏まえ、昨年秋から水面下で感染対策の見直しを進めてきた。年末には、正式な検討指示の表明時期に関し、数パターンのシナリオを作成。首相は、その中で最も早いタイミングを選択した。
 感染対策の長期化を受け、国民の間には閉塞(へいそく)感が拡大。打撃を受けた日本経済の活性化を求める声が根強いことも、首相の決断を後押しした。
 統一選や補選を控え、内閣支持率の低迷が続く政権の焦りも背景にある。「世論の期待もあるからな」。政府関係者によると、首相は18日に加藤勝信厚生労働相と今後の対応を協議した際、自身の本音を吐露。この場で5類移行の方向性が固まったという。
 5類になれば、新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づく緊急事態宣言などの対象外となり、行動制限の法的根拠はなくなる。一方、新型コロナが今後も流行を繰り返すのは必至とみられる。現在の「第8波」でも、死者数や救急搬送の困難事例は高い水準が続くなど、感染対策の重要性は当面変わらない。
 政府分科会メンバーの釜萢敏・日本医師会常任理事は、新型コロナの感染が定着した「エンデミック」と呼ばれる状態に、日本国内がなりつつあると指摘。その上で「段階的な対策緩和でエンデミックレベルを低くすれば社会活動が円滑に進む」と強調し、引き続き各自治体と地域医療機関が病床確保などで緊密に連携するよう訴えた。

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