岸田首相、対中連携に手応え EU首脳から強硬発言

東京, 5月13日, /AJMEDIA/

 岸田文雄首相は12日の欧州連合(EU)との定期首脳協議で、中国に対する異例の強硬発言を引き出し、毅然(きぜん)と対処していく方針で一致した。ウクライナ危機を受け、中国がロシアを制裁回避や軍事的な形で支援しかねないとのEUの懸念が背景にある。首相は今回の協議で、欧州との連携強化へ手応えをつかんだようだ。
 「攻撃的な姿勢を強める中国に注意が必要だ。われわれの連携が必要だ」「プーチン大統領が習近平国家主席と交わした『限りない友情』を考えれば、世界秩序への挑戦を非常に深刻に受け止めるべきだ」。EUのミシェル大統領とフォンデアライエン欧州委員長は首相との会談や共同記者発表で、中ロへの警戒感を口々に訴えた。
 EUは昨年、初の包括的なインド太平洋戦略をまとめ、日豪印などとの協力を通じ、人権保護やルールに基づく国際秩序維持の促進をうたった。EUのこうした方針の延長線上に12日の協議はあり、中国との競争をにらんだ経済安全保障協力やデジタル分野での連携を確認した。
 「ウクライナ情勢への危機感と中国の危うさへの認識が広がり、アジアで価値観を共有する日本への期待が高まっている」。首相周辺は、中国の軍事的台頭に敏感に反応してこなかったEUの姿勢の変化をこう分析する。
 12日の協議で首相は「ロシアの侵攻は欧州にとどまらず、アジアを含む国際秩序の根幹を揺るがすものだ」と重ねて表明。中国の影響力が増すアジアやアフリカに対して、日欧が食料支援などの分野で協力を申し合わせたと明かし、EUとの協調をさらに推し進める考えを示した。
 ただ、対ロ制裁の内情を見れば、EUは年内のロシア産石油禁輸を打ち出したものの加盟国に慎重論を抱え、日本も禁輸の時期や手法を明確にできない事情がある。首相は6月下旬にドイツで開かれる先進7カ国首脳会議(G7サミット)や、スペインでの北大西洋条約機構(NATO)首脳会議への出席を調整しており、制裁の実効性をどこまで高められるかが課題となりそうだ。

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