岸田首相、世論支持焦り迷走 国葬・旧統一教会、対応後手に

東京, 9月11日, /AJMEDIA/

 岸田文雄首相が、安倍晋三元首相の国葬や世界平和統一家庭連合(旧統一教会)問題をめぐり、相次いで方針転換を迫られている。いずれも世論を見誤り、対応が後手に回った。首相は8日の国葬に関する閉会中審査と旧統一教会の点検結果公表で、論争に区切りを付けたい考えだが、信頼を回復できるかは見通せない。
 「さまざまな批判はしっかり受け止めなければならない。共通する思いとして、(私の)説明が不十分という部分があると認識している」。首相は閉会中審査で神妙に語り、国葬をめぐる対応の非を認めた。
 政府は当初、警備費用などを含む国葬の全体費用を事後に明らかにするつもりだったが、世論などの反発を受けて方針転換し、6日に約16億6000万円との見通しを公表した。しかし、「ファイナルアンサーとは思えない」(立憲民主党の安住淳国対委員長)など疑問の声が続出。国民民主党の玉木雄一郎代表は「後手後手の説明が不信感を招いている」と指摘した。
 首相は「丁寧な説明」を尽くすことで、世論の幅広い理解を得たい考え。ただ、自民党のあるベテラン議員は、首相の国葬決断が保守派の支持をつなぎ留めるためだったと分析。「国民はそこ(動機)がおかしいと思っており、なぜ国葬なのかは説明がつかない」と突き放す。
 旧統一教会の問題でも、当初は自民党による調査には慎重で、党所属議員が個別に点検して関係を見直す考えだったが、前言を翻し党として点検結果を公表した。ただ、自己申告ベースで、議員名が公表されたのはつながりが深いと判断された121人のみだったため、野党は「まだまだ不透明」(立民の泉健太代表)などと実態解明には程遠いとみている。公表が国葬の閉会中審査と同じ日になったことも、問題を小さく扱わせる「せこいやり方」(安住氏)と批判する。
 さらに、安倍氏が調査対象外となったことも不信を増幅させた。ある自民党中堅議員は、教団との関わりがもっとも深かったのは安倍氏だったと国民は受け止めているとして、「そこに踏み込まず、子分たちを『公開処刑』にするのはあり得ない」と不満をあらわにする。
 国葬の全体費用公表も党による点検も、報道各社の世論調査で支持率が急落した8月下旬以降、決まった。参院選に勝利し、政権基盤を整えたはずだった首相の迷走に、自民党の閣僚経験者は「このままでは、首相は優柔不断という見方が一気に広がる」と懸念を示した。

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