岸田派、菅氏批判にピリピリ 首相の「閥務」継続巡り―自民党

東京, 1月27日, /AJMEDIA/

 自民党岸田派(宏池会)の会長ポストにとどまる岸田文雄首相を菅義偉前首相が批判したことを受け、同派が緊張感を高めている。求心力低下が目に付く岸田氏にとって派閥は数少ない頼れる足場だけに、難しい対応を迫られている。
 岸田政権では「派閥の意向」が優先され、「国民の声が政治に届きにくくなっている」として、歴代首相にならって閥務から身を引くべきだ、というのが菅氏の主張。今月10日、訪問先のベトナム・ハノイで記者団に語った。
 26日昼、国会近くの派閥事務所で今年初めて開かれた岸田派例会に、岸田氏は姿を見せなかった。一方で、あいさつに立った同派事務総長の根本匠元厚生労働相は菅氏の発言を念頭に、「派閥は政策集団に変わった。その最たるものが宏池会だ」と反論した。
 岸田氏は首相就任後も派閥関係の会合に頻繁に出席してきた。自民党はリクルート事件などで政治不信が高まった1989年、総裁ら党役員は在任中、派閥から離脱するとした「政治改革大綱」を策定。首相の座に就けば形だけでも派を離れるのが慣例だったが、岸田氏は名実ともに岸田派のトップであり続ける。
 岸田派は衆参両院議員43人で、現在は二階派と並ぶ党内第4派閥。岸田氏は2020年の総裁選で菅氏に大敗する悲哀も味わっており、苦難を共にした派閥への愛着は深い。防衛費増額のための増税を決めた昨年末の自民党税制調査会の会合では、反対論の大合唱の中で岸田派議員が動員され、賛成論を展開した。
 菅氏も首相在任中、支援を受ける二階派を重用しており、岸田派ベテランは「派閥重視は歴代政権も同じだ」と不満を漏らす。同派関係者は、岸田氏の今後の対応について「表立って会合に出にくいが、宏池会が頼りという思いは変わらない」と語った。

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