展望描けぬアフガン人留学生 現状なら「帰国の選択肢なし」―日本で職探し難航

東京, 8月15日, /AJMEDIA/

昨年8月に政権を奪取したイスラム主義組織タリバンの支配が継続する中、混乱するアフガニスタンを離れ日本で生活する留学生たち。旧政権関係者や女性への弾圧が続く母国に帰る見通しは立たず、将来の展望を描けずにいる。
 ◇祖国の家族は疲弊
 首都カブール出身の20代男性は、勤めていた農業省のオフィスにいた時、政変が起きた。政府の一員だったため、迫害を恐れ、国内を転々としながら身を隠した。タリバン支配が始まる前に国際協力機構(JICA)の留学プログラムに合格していたことから、JICAに支援を要請。今年4月にようやく、アフガンを出国できた。10月から神戸市内の私立大学に入学することが決まっており、同市で暮らしながら日本語を勉強している。
 アフガンに残る家族とはインターネット交流サイト(SNS)で連絡を取る。家族に暴力などの危害を加えられたことはないが、妹は大学に通えなくなった。タリバン支配により女性が一人で外出することも難しくなり、「家族は精神的に追い詰められている」という。
 「この1年で分かったのは、タリバンは変わっていないということ。極めて特異で、世界にとって脅威となる存在だ」と語る男性。「現状が続く限りは帰国の選択肢はない」と肩を落とす。
 気掛かりなのは「米国や欧州諸国とのプロジェクトで雇用され、弾圧される恐れがある人が多数、出国できないまま取り残されている」ことだ。日本関係の事業に協力し、脱出できずにいる人もおり「日本政府も国外退避を望む人を助けてほしい」と力を込めた。
 ◇卒業後の在留資格を
 同じ神戸市内の大学に2020年10月に入学した30代の女性は、新型コロナウイルス感染拡大の影響で来日できず、カブールの自宅でオンライン授業を受けていた。政変後に連絡を取ったJICAに「自力でパキスタンに出国できれば、その後の支援はできる」とアドバイスを受け、同国を経由して昨年10月に来日した。現在は大学に通いながら、夫と2人の子どもと同市内に住む。
 小学6年生の長女の未来を考えれば、女性から就労や教育の機会を奪っている今のアフガンに帰国はできない。今年9月にカリキュラムを終え、大学を卒業する女性にとって最大の悩みは自身の職探しだ。複数の企業に履歴書を送っているが、日本語の壁もあり、結果に結び付いていない。「将来を考えると不安。日本政府には、(卒業後の)在留資格を与えてほしいし、仕事を見つけるまでのサポートも必要だ」と訴えた。

Follow us on social

Facebook Twitter Youtube

Related Posts