対話の被爆者「夢かなった」 G7首脳ら、説明聴き入る―広島サミット

東京, 5月20日, /AJMEDIA/

首脳らは午前11時前後に次々と平和記念公園に到着し、原爆資料館に入った。館内では岸田文雄首相らから展示品の説明を受け、被爆者の小倉桂子さん(85)と対話した。
資料館訪問「一定の成果」 滞在短時間に疑問も―広島被爆者ら・G7サミット

 「私の目、心を通して追体験してください」。8歳の時に被爆し、国内外で外国人らに体験を伝えてきた小倉さんは、首脳らを前に英語でこう切り出した。原爆が落とされると視界が真っ白になり、地面にたたき付けられ、気がつくと音が聞こえなくなった―。時系列で淡々と話を進めると、興味深そうに聴いていたという。
 放射能の怖さを伝えようと、2歳で被爆し、10年後に急性白血病で亡くなった佐々木禎子さんのエピソードも話した。途中で遮られることもなく、「もっと話を聴きたい感じだった」と振り返った。
 対話は10分以上続いたように感じたといい、「広島で顔を見ながら話し合う相乗効果を期待していた。夢がかなった」と笑顔を見せた。首脳らには「核兵器がなくならないうちに死にたくない」と訴え、話し終えると握手やねぎらいの言葉を掛けられたという。
 湯崎英彦広島県知事と松井一実広島市長も、一部の資料を紹介した。松井氏は原爆で孤児になった子どもたちを養育する「広島戦災児育成所」企画展や、「安らかに眠って下さい 過ちは繰返しませぬから」と碑文に刻まれた誓いの言葉などを説明。湯崎氏は、禎子さんが懸命に生きようと、病床で折り鶴に込めた平和への願いを伝えた。
 首脳らは神妙な面持ちで説明を聴いていたという。湯崎氏らは「本当に重く受け止めている様子だった」と振り返った。松井氏は「歴史的に非常に意義深い一日になった。核兵器をなくす以外に根本的な解決はないと認識を共有してもらい、さまざまな重要課題に臨んでほしい」と語った。
 滝川卓男館長は「そろって資料館を視察してもらったことは大変有意義」と強調。「被爆の実相に触れてもらったと思っている。それぞれの国に帰って、平和に対するメッセージを発信してもらいたい」と期待した。

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